現行の1円玉が2万6000円に大化けした理由とは? ※画像:第14回レトロコインオークション Lot:095 現行貨幣 1円アルミ貨 昭和64年 / 1989 保証機関 PCGS 保証ランク MS65PL
1円玉が2万6000倍の価値に大化け
同じ1円玉でも実は少し見た目が異なる1円玉があることをご存じでしょうか。そんな1円玉が、2025年12月13日に開催された第14回レトロコインオークションでは複数出品され、額面からは到底考えられない金額へと大化けしています。エラーコイン? いえ、違うんです。それでは一体何が通常の1円玉と異なっているのでしょうか。今回は、出品された1円玉のうち、2万6000円で落札された昭和64年の1円玉をもとに解説していきます。
通常の1円玉よりも輝いている
2万6000円に大化けした「実際の1円玉」(裏面) ※画像:第14回レトロコインオークション Lot:095 現行貨幣 1円アルミ貨 昭和64年 / 1989 保証機関 PCGS 保証ランク MS65PL
この1円玉は、貨幣鑑定機関のPCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)から「MS65PL」の鑑定を受けています。65は完全未使用、PLとは「プルーフライク」を意味します。実はこのプルーフライク評価が高値となる理由なのです。
プルーフライクとは流通用コインでありながら、製造初期の磨かれた金型で打たれ、鏡面のような反射を持つコインのことです。実はわが国の1円玉の中には、このプルーフライクの評価を得ているものがいくつかあります。1円玉が鏡のような反応をするため、指を1円玉に近づけるときれいに映るのです。
こうしたプルーフライク評価の1円玉は発行枚数から見てもごくわずかです。製造初期の段階で発行されたものに見られるため、毎年製造されるコインのうち、最初の時期のものはプルーフライク評価となる可能性があります。
なお、ご存じの通り、昭和64年は実際にはたったの7日間しかなかったこともあり、発行枚数が他の年と比べても少ない点も、プレミアムがつく理由となっています。
2011~2013年、2016年以降の1円玉を見かけることはほとんどない
プルーフライクの1円玉は、新しく製造された1円玉から探していくことで発見できる可能性があります。しかし、2011~2013年、2016年以降は通常の1円玉は製造されていません。製造されているのは“プルーフ”の1円玉のみです。プルーフとは、一般流通を目的とせず、収集用として特殊な技術を用いて製造されたものを指します。貨幣に光沢があり、明らかに通常貨幣とは異なります。プルーフ貨幣は、造幣局からミントセット(専用ケースにいれてセット販売される貨幣)や貨幣セット、記念貨幣として販売されています。
そのため、新しい1円玉を流通している1円玉の中から探し出すことも難しいのです。1円玉のプルーフライクは昭和から平成にかけての時代のもので、ロールと呼ばれる50枚セットになっているものから発見できる場合があります。昔の銀行のロールがあるといった人は、鏡のような光沢のある1円玉を発見できたら、鑑定に出してみるとよいでしょう。
<参考>
第14回レトロコインオークション Lot:095 現行貨幣 1円アルミ貨 昭和64年 / 1989 保証機関 PCGS 保証ランク MS65PL
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