宮古島の気になるお宿、後編は「ラサ・コスミカ・ツーリストホーム」をご紹介します。このお宿を一言で説明するのはなかなか難しいです。日本の宿泊施設のカテゴリーでいえば、ペンションにあたるのでしょうが、もっと気ままに過ごせて、雰囲気があって…。海外の南の島で時折出会うような、オーナーの思いがちりばめられた個性的な小さな宿です。


オーナーの中島さんご夫妻は、インドの弦楽器シタールを介して知り合い、ご主人の薄童さんはインドに遊学もしてらした方です。沖縄へ移住を決めた時、島選びをする際の条件は海が見えること、観光客が少ないところ、ロケーションがいいところ。1年間かけて沖縄の離島を回り、この地に決めました。

場所は宮古島の北から橋でつながった池間島。宮古空港から車で約30分。池間島はたしかに目立った観光スポットもなく、池間大橋のたもとにドライブイン的に数軒のお土産屋さんがあるくらいの一周車で10分もかからない小さな島です。島の北沖5kmにある八重干瀬(やびし)が、旧暦の3月3日に水面下から浮かび上がる巨大なサンゴ礁の大陸として、知られています。


ラサ・コスミカ・ツーリストホームは池間島の西海岸にあります。ガレージ全面に描かれたお釈迦さまの顔が、この宿の目印です。ラサ・コスミカとは、スペイン語でラサ=人種、コスミカ=宇宙。いろんな人種がうまく融合すれば、もっと高い文化が生み出せるはず、というメキシコの哲学者が提唱している考え方が、宿の名前にこめられています。

乾いた土の色をした建物は、サンタフェ、モロッコ、西アジア、地中海沿岸などが融合したような感じ。外観はあえて塗りむらを残した古城のような壁、アール状に壁がくりぬかれた庭を望むテラス。ダイニングには英国のアンティーク家具が置かれ、壁にはシタール。廊下のニッチ(くぼみ)には、オリエンタルな調度品が飾られています。いろんな国のエッセンスがちりばめられ、沖縄でもなく、どこでもない、オーナーご夫妻の世界観が投影された宿です。ちなみに客室は全室オーシャンビュー。トイレ、浴室は共同です。

 
芝生が敷き詰められた庭からは海を一望でき、夕暮れ時はすべてが赤く染まります。そして庭から降りられるアラシッスゥ・ヒダビーチがまた、美しいこと。ぐるりと琉球石灰岩に囲まれた小さな入り江で、クサトベラやモンパの木の緑色がさし色になった象牙色の砂浜が広がっています。人が訪れることはなく、ほとんどプライベートビーチ状態です。ちなみにアラシッスゥ・ヒダとは地元の言葉で、新しく人が住み着いた白い浜という意味です。


そして、食事も大きな楽しみのひとつ。ここでサーブするのは、自家製ハーブや有機栽培の野菜、玄米などを使ったオーガニック・ベジタリアン料理。魚や肉を使わずに、これだけレパートリー豊かに食卓を彩れるのか、と驚くこと必至です。彩りも鮮やかで、目にも美味しくいただけます。


ゲストはのんびりと読書したり、下の浜辺に遊びにいったり。オーナーご夫妻は前面に出ることなく、思い思いに自分の時間を過ごせるのも、この宿の魅力です。そして、中学生未満は宿泊のできない、大人の宿というのも心惹かれます。観光スポットも何もない島へ、この宿に泊まることが目的となる旅というのも、悪くないんじゃないでしょうか。

ラサ・コスミカ・ツーリストホーム
沖縄県平良市前里309-1
TEL&FAX(0980)75-2020
E-mail raza@m1.cosmos.ne.jp
客室数/5室(ツイン4室。うち1室は3名収容可能。シングル1室)
室料/1泊2食付1名につき1万円
※3月2日までは冬季休業中ですが、メールで予約は申し込み可能です。人気が高い宿なので、ご予約はお早めに(宿泊予定の3ヶ月前から受付)。
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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。