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現行の10円玉が「90万円」に大化け!一体なぜ? 未使用品でもないギザ十が“超高額”になった理由

2025年11月15日に開催された第37回銀座コインオークションで、現行の10円玉がなんと90万円で落札されました。未使用品ではないのに、一体なぜ極めて高額となったのか。ポイントは、10円玉の“表面”にあります。※画像:PIXTA(画像はイメージ)

伊藤 亮太

伊藤 亮太

株式・ファイナンシャルプランナー ガイド

ファイナンシャルプランナー(CFP®)

慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了。その後証券会社にて、営業、経営企画部門等を経て、独立系FP会社「スキラージャパン株式会社」設立。ファイナンシャル・プランナーとして、家計簿診断などのライフプランニング、資産運用、保険の見直しなどの相談を行う。執筆・講演も金融機関をはじめ多岐に渡る。

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現行の10円玉が90万円で落札されました。その理由とは? ※画像:PIXTA(画像はイメージ)

現行の10円玉が90万円で落札されました。その理由とは? ※画像:PIXTA(画像はイメージ)

普段使っている10円玉の中にお宝があるとしたらどんな10円玉でしょうか? 皆さんが思い浮かべるのは、“ギザ十”などでしょうか? 確かにギザ十は価値があるものの、未使用などよほど状態がよいものでない限り高値が付くことは考えにくいです。

現行の10円玉が9万倍の価値に化けた

しかし、2025年11月15日に開催された第37回銀座コインオークションで、昭和27年発行の10円玉が90万円(手数料込みで104万8500円)で落札されたのです。

落札された10円玉はギザ十ですが、極美品程度の評価であり、未使用品ではありません。状態が必ずしも非常にいいとは言えないのに、一体どんな理由から額面の9万倍へと化けたのでしょうか?

表面の平等院鳳凰堂が描かれていない

今回落札された10円玉は、“10”と常磐木が描かれている裏面は特に通常の10円玉と何ら変わりありません。しかし、表面を見ると本来描かれているはずの平等院鳳凰堂がありません。裏面の部分が裏返して刻印されているのです。これは「陰打ちエラー」と呼ばれるものです。

陰打ちエラーは、一度打刻された硬貨に別の硬貨が重なり再度打刻されることで発生するエラーです。凹凸部分が通常とは逆になっているのも大きな特徴です。

今回落札された10円玉は、鑑定機関PCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)からも、Mint Error(貨幣を製造する過程で発生したミス)のお墨付きを得ています。

また、“AU58”は極美品という評価です。もしかしたら、普通に流通して使われていたのかもしれません。使用中で発見された可能性もあります。

少しでも変だと思ったら鑑定に出してみよう

今回の出品物は極めて高額での落札となりました。仮に偶然発見して保管してあったものだとすると、誰でも発見する可能性はあったことになります。宝くじとは異なり、損することがなく、発見できればお宝となります。

もし何か変だなと感じたり、エラーコインかもしれないと思ったら、コインの鑑定機関、例えばPCGSやNGC(Numismatic Guaranty Company:1987年に創設されたアメリカの第三者格付け鑑定会社)へ鑑定に出してみましょう。

状態のよし悪しにもよりますが、鑑定機関からエラーと評価を得ることで高値となる可能性があります。コインの鑑定は一部のコイン商を通して申し込むことができます。

陰打ちエラーはなかなか見つからないかもしれませんが、普段から気にして見るようにしていると、さまざまなエラーコインを発見できるかもしれませんよ。

<参考>
第37回銀座コインオークション Lot番号:715 10円青銅貨 陰打 昭和27年(1952) 現8 PCGS(Mint Error AU58) | EF

>次ページ:90万円に大化けした「実際の10円玉」を見る
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