年金

年金は繰り上げ受給すると取り消しできない?知らないと困る年金制度のルール

老後の生活設計において、「年金をいつから受け取るか」は最も重要な決断の1つです。経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに、繰り上げ受給の仕組みと注意点について教えてもらいました。※サムネイル画像:PIXTA

酒井 富士子

酒井 富士子

60代の得する働き方 ガイド

ファイナンシャル・プランニング技能士

経済ジャーナリスト。株式会社回遊舎 代表取締役。上智大学新聞学科卒業後、日経ホーム出版社に入社。「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルートに入社。「赤すぐ」(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から現職。近著に『60代の得する「働き方」ガイド』がある。

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老後の生活設計において、「年金をいつから受け取るか」は大きな決断の1つです。その中でも、繰り上げ受給を選ぶと、生涯にわたって年金が減額されるため、慎重に検討したい制度といえます。

今回は、繰り上げ受給の仕組みと、判断するうえで知っておきたい注意点について、経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに教えてもらいました。

繰り上げ受給の「知られざる落とし穴」

繰り上げ受給を検討するときに、多くの方が知らない、あるいは誤解しやすい重要なポイントがあります。それは、年金は、基礎年金と厚生年金の2階建て構造になっていますが、繰り上げは両方を同時に繰り上げなければならないという点です。

例えば、「自分は厚生年金の分だけを繰り上げたい」「基礎年金は65歳から受け取りたい」といった選択はできません。繰り上げを選んだ場合は、基礎年金も厚生年金もそろって前倒しになり、同時に減額されることになります。

ちなみに繰り下げの場合は、基礎年金だけ、あるいは厚生年金だけといったように、別々で選ぶことができます。こうした違いが、繰り上げ受給の判断をいっそう難しくしているのかもしれません。

さらに、繰り上げ受給は一度選ぶと取り消すことができない制度です。あとから「やっぱりやめたい」と思っても、戻すことはできません。

そのため、思いつきで決めるのではなく、家計の見通しや健康、これからの働き方などを踏まえて検討することが大切です。

ただし、中には、繰り上げによって住民税非課税世帯になるよう受給額を調整する人や、生活資金に余裕があって受け取った年金を運用に回す人もいます。

年金制度をよく理解し、自分の目的に合わせて年金の受け取り方を選ぶ視点を持ってほしいですね。
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