そんなベーグル、実はポーランドのある街が発祥という説があります。それがポーランド南部にあり、中世にポーランドの首都だった街「クラクフ」です。ベーグルの原型「オブヴァジャネク」と世界遺産に登録された美しい街並み、そして周辺の自然観光まで、クラクフとその周辺の魅力をご紹介します。
ベーグル発祥の地は東欧ポーランドの古都クラクフ
一説ではベーグルの原型と言われるクラクフのベーグル。「オブヴァジャネク」と呼ばれ、古くは1394年の王室の帳簿に「王妃のために代金を支払った」という記録が残っているそう。オブヴァジャネクはポーランド語で「ゆでる」という意味で、細長い生地をねじってリング状に成形し、一度軽くゆでてから焼き上げます。基本の材料は小麦粉、イースト、塩、砂糖、油、水とシンプル。フレーバーは塩、ケシの実、ごまなどが定番です。
真ん中に大きな穴が開いていて、見た目はベーグルよりプレッツェルに近いかも。サイズは直径は12~17センチ、重さは80~120gほど。味わいは店によって多少違いますが、外はカリッと香ばしく、中は適度な弾力と歯ごたえがあります。
プレッツェルほど硬くはありませんが、日本で食べるベーグルよりは硬めでしっかりとした食感。かめばかむほど生地のうまみが感じられ、食べ飽きないおいしさです。 クラクフ旧市街にはオブヴァジャネクを売る青いワゴンが数十メートルおきにあり、気軽な食べ歩きグルメとして観光客にも人気。ワゴンでの販売価格は1個約3.0~3.7ズロチ(約120~150円)でした。 駅などには売店もあり、地元民らしき人が買い求める姿もありました。 今回は立ち寄る時間がなかったのですが、ベーグル作りが体験できるオブヴァジャネクミュージアムもありました。
また、宿泊したホテルでは、朝になるとレセプションの横にオブヴァジャネクのワゴンが登場し、チェックアウト時に「お1つどうぞ」と無料でプレゼントしてくれるうれしいおもてなしも! クラクフ滞在中はベー活チャンスに事欠きません。
ベー活だけじゃない! 見どころの宝庫クラクフ、ダ・ヴィンチの名画も
そんなベーグル片手に歩きたいクラクフは、中世の雰囲気を色濃く残しており、街全体が世界遺産にも登録されています。1978年の初回の世界遺産登録で選ばれた 12件のうちの1つです。 街の中心にある中央広場には、世界中から観光客が集まり、どこか浮き立って楽しい雰囲気。広場の一角に立つ聖マリア教会では、毎時00分になると塔の上の小窓からラッパ吹きが登場するのでぜひ注目を。13世紀から緊急時に吹かれていたそうで、モンゴル軍の来襲を知らせたこともあるとか。内部には高さ13メートルの荘厳な祭壇があり、色鮮やかなステンドグラスにも目を奪われます。 旧市街のチャルトリスキ公爵美術館もぜひ立ち寄りたいスポットです。19世紀初頭に地方貴族のチャルトリスキ家によって設立されたこの美術館の目玉はなんといっても、レオナルド・ダ・ヴィンチの『白貂を抱く貴婦人』。世界に4点しかないダ・ヴィンチ女性肖像画の1つです。
クラクフではマクドナルドもこの雰囲気!
ちなみにベーグルといえばニューヨーク名物というイメージを持つ人もいると思いますが、ユダヤ系ポーランド人の移民が伝えたとも言われています。 丘の上のヴァヴェル城も見逃せません。ゴシックとルネサンスなどが混在する壮大な建築で、ヨーロッパ最大級の中庭もあります。
鐘楼にあるジグムントの鐘はロシアの大砲を溶かして作った13トンの巨鐘で、左手で触ると願いがかなうという言い伝えも。ガイドさんいわく、願いが数十年後にかなった人がいるとか(かなうまで口外NGとのこと)。
城にはキッチンから王の部屋へ暖気を送るシステムや、当時としては珍しいトイレも完備されていたそうで、なかなか先進的なお城だったようです。
古都だけじゃない! クラクフから約2時間で絶景の山岳リゾートへ
街歩き以外に自然観光もおすすめ。ポーランドは「平らな土地」という意味で基本的に国土の多くが平原ですが一部には山もあります。クラクフから比較的行きやすいポーランド南部の「ザコパネ」は、標高900メートル、人口3万人ながら、100軒以上のレストランがあるにぎやかな山岳リゾートです。周囲には2000メートル級のタトラ山脈がそびえていて雄大な景色に心が癒やされます。 冬はスキー、春から秋はハイキングを楽しめるほか、スロバキアとの国境沿いを下る川下りなどのアクティビティも多彩です。
ヨーロッパの中では物価が安く、首都ワルシャワと日本を結ぶ直行便もあり、比較的アクセスしやすいポーランド。ベーグル好きはもちろん、旅慣れた人にもぜひ訪れてほしい場所です。
取材協力:ポーランド政府観光局



















