年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、前月と前々月分がまとめて支給されます。ただし、15日が土日祝日の場合は、その直前の平日が支給日となります。
例えば、10月15日に支給されるのは8月・9月分。しかも、そこから健康保険料、介護保険料、住民税などが天引きされるため、「思っていたより少ない」と感じる方も少なくありません。
また、「初めての振込額を見て、思ったより多いと勘違いして使い過ぎてしまった」「翌月、振込がなくて慌てた」という失敗談もよく耳にします。
2カ月に1回という支給サイクルに慣れないうちは、家計管理が難しく感じるかもしれません。
今回は、そんな年金生活で失敗しないための家計管理のコツと心構えについて、分かりやすく解説します。
参照:日本年金機構 「年金はいつ支払われますか。」
2カ月ごとにお金が入るという「生活リズム」をつかもう
年金生活で最初に意識したいのは、収入が「毎月」ではなく「2カ月に1回」になるという点です。これは、今までの給料生活とは大きく異なります。前述したように、10月15日に年金が振り込まれたとしたら、それは「8月と9月分の年金」です。次に振り込まれるのは、2カ月後の12月15日。つまり、10月15日にもらった年金で、10月15日~12月14日までの生活費をやりくりしていく必要があるということになります。
この「2カ月分まとめて支給される」というサイクルに慣れていないと、うっかり最初の月で使い過ぎてしまい、次の月の生活費が足りなくなる、という事態にもなりかねません。
そこで大事なのは、振り込まれた年金額を「1カ月分ずつ」に分けて管理することです。具体的には、以下のようなステップを踏むとよいでしょう。
・第1ステップ:振り込まれた金額を確認する(2カ月分の総額)
・第2ステップ:それを半分に分け、「1カ月目に使う分」「2カ月目に使う分」に分けて管理する
・第3ステップ:できれば、2カ月目に使う分は別の口座や封筒などに別管理する
こうして1カ月ごとの生活費に分けて考えることで、2カ月に1回の年金生活でも安心してやりくりできるようになります。
大切なのは、「収入は2カ月に1回」でも、「家計管理は毎月単位で行う」という感覚です。
家計管理のコツは「シンプル&予算重視」
以下のように、支出を大きく分類して考えると管理がラクになります。【固定費(家賃・光熱費・通信費など)】
毎月必ず発生する支出は「固定費」として、あらかじめ金額と引き落とし日を把握しておきましょう。
代表的な固定費には以下のようなものがあります。
・水道・電気・ガスなどの光熱費
・通信費(スマホ・インターネット)
・保険料(生命保険・火災保険など)
・サブスクリプションサービス利用料(新聞・動画配信サービス・ジムなど)
・家賃
これらは基本的に毎月、自動的に引き落とされるため、うっかり使い過ぎると支払いができない……という事態にもなりかねません。
また、毎月のように発生するからこそ、一度契約したまま見直しをせずに放置していると、知らないうちに膨らんでしまうこともあります。
「本当に必要か?」「使っていないサービスはないか?」を定期的に見直し、ムダな固定費はできるだけカットする習慣をつけましょう。
それだけで、年金生活の家計にぐっとゆとりが生まれるはずです。
【日常費(食費・消耗品費・被服費・娯楽費)】
生活に必要な支出は、変動する部分もあるので、予算を立ててコントロールすることが重要です。
食費は週単位で予算を決めて管理すると、使い過ぎを防げます。自炊を基本にしつつ、外食は「たまの楽しみ」としてシニア割などを活用しましょう。
消耗品は「必要なものだけを買う」が鉄則。まとめ買いは安くてもムダになったり、収納する場所に困ったりすることがあります。
被服費や娯楽費は、「欲しいから」ではなく「本当に必要か?」の視点で考えましょう。季節ごとの買い足しは最小限にとどめるのが賢明です。
突然の出費には「月5000円の予備費」で備えよう!
年金生活では、毎月の生活費だけでなく、突発的な出費にも備えておくことが大切です。例えば、病気やケガでの通院費、冠婚葬祭、家電の故障による買い替えなど、いつ起こるか分からない出費は意外と多いもの。
また、車検や固定資産税といった年に1回~数回の支払いも忘れがちですが、確実にやってきます。例えば固定資産税は2月・4月・7月・12月に納期限が設定されている自治体が多く、車検は2年に1回です。
このような出費に慌てて貯金を取り崩すのではなく、あらかじめ「予備費」として毎月5000~1万円程度を取り分けておきましょう。とはいえ、全てを年金収入の中だけで賄おうとすると、ムリが生じることもあります。
そんなときは、不足分を老後資金(貯蓄)から計画的に引き出すとよいでしょう。
「予備費で賄える部分は自分でカバーし、それでも足りないときは、あらかじめ準備してきた資金を必要な分だけ使う」と考えることで、精神的にもゆとりを保ちながら、安定した家計運営ができるようになります。