新施設のオープンでハコ不足解消
会場不足という問題については、今年大きく改善される見込みです。3月に「COMTEC PORTBASE」(名古屋市港区/収容人数最大約2200人)、7月に「IGアリーナ」(名古屋市北区/同最大約1万7000人)が相次いでオープン。加えて、2019年にオープンした「Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)」(愛知県常滑市/同最大7500人+6000人5ホール)もコロナ禍を経て昨年以降稼働率が右肩上がりで、スキマスイッチのスキマフェスはじめ、DREAMS COME TRUE、米津玄師など大物アーティストの公演を開催。名古屋飛ばしを吹き飛ばす環境は整いつつあります。 IGアリーナ、Aichi Sky Expoは音楽に限らず多彩なエンターテインメントに対応できるのも大きな魅力です。
「最大1万7000人収容可能で、スポーツ観戦に適したオーバル(楕円)型とコンサート向きの馬蹄型、2つの形状を組み合わせたハイブリッド式の施設です。約30mの天井高、8面体のセンタービジョン、全長220mのリボンビジョンと、多彩な演出も可能。スポーツ、音楽以外にもファッションショーなど多様な企画、公演に活用してもらいたいと考えています」とIGアリーナ担当者。 こけら落としとなった7月の大相撲名古屋場所はチケットが完売。8月には八村塁選手によるバスケットボールクリニック「BLACK SAMURAI 2025」、9月にSTING(スティング)のコンサートやボクシング井上尚弥選手の世界タイトルマッチ、10月にバスケットボールのBリーグ開幕、12月にISUグランプリファイナル 国際フィギュアスケート競技大会などと多彩な公演がラインアップされています。 Aichi Sky Expoは愛知県常滑市の中部国際空港島内にある展示場として2019年8月にオープン。1万平方メートルのホール6つを擁します。 「2024年はコンサート需要が急増し、工事休業中の日本ガイシホールを補完した格好です。6つのホールのうち複数をつなげたり、会場外のスペースも使用できるので会場利用の自由度が高い。昨年夏のスキマスイッチによる『スキマフェス』では屋内外を活用し、2日間で約4万5000人を動員しました」とAichi Sky Expo担当者。
Aichi Sky Expoはコンサート以外のイベントでも強みを発揮
Aichi Sky Expoは、コンサート以外の「名古屋飛ばし」を解消する役割も担います。「産業振興を一番の目的とする施設なので、BtoB(企業対企業)、BtoC(企業対消費者)を問わず大小さまざまな展示会を愛知で開催してもらうことが大きな役割です。産業展示会はこれまで東京一極集中だったのですが、中部地方初開催や全国初の展示会もここで開催されるようになっています」と担当者。
音楽以外の催しでも、Aichi Sky Expoの会場の広さ、自由度という強みは存分に発揮されています。自動車版ロボコンともいうべき「学生フォーミュラ日本大会」は昨年の第22回から会場をAichi Sky Expoに移し、同会場で今年4回目を迎えた「名古屋モーターサイクルショー」は東京、大阪会場にはない新型車の試乗ができるといった特色が。既存の催しが運営のしやすさを理由に会場をここに変更したり、ここだからこそできるプログラムを盛り込むなどして、愛知にこれまでなかったイベントの誘致、開催を実現させているのです。
このほかに、一般の人も参加し楽しめるものでは、旅・観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン 2025 愛知・中部北陸」(一般日9月27~28日)、アウトドアや遊びをテーマにした「FIELDSTYLE EXPO 2025」(11月15~16日)などが予定されています。 このようにコンサートに限らず、多様なイベントを開催できる環境が整ってきている名古屋、愛知。「名古屋飛ばし」なんてワードに惑わされず、魅力的な催しを目的に県外の人にも足を運んでもらいたいものです。