権力に対して意見が自由に言えなくなったから?
議員報酬が高いのは今に始まったわけではありません。何十年も前から国会議員の報酬は国民とくらべてはるかに高く、むしろ議員年金が廃止された現在のほうが、議員が手にするお金は少ないくらいです。ならばなぜ、今さら議員報酬に批判が向けられるのでしょうか。他の政治課題と議員報酬の間にはどんな違いがあるというのでしょうか?
このところの政治を取り巻く状況から、それは“言論の自由”に関係している可能性があります。
権力にもの申すことの怖さを植え付けられた?
近年、権力に対して意見を言うことの怖さを感じさせられる出来事が起きています。例えば第2次安倍政権以降、与党の街頭演説でヤジを飛ばした人が拘束されたり、SNSで政権批判をした人が攻撃の対象にされるなど、権力に対して意見を言うことの怖さを感じる出来事が起きています。
中には救済を求める声を上げた弱者にまで批判が集中するなど、権力批判とも取られる発言はリスキーな行為となりました。
一方で、そうしたリスクをほとんど伴わないのが議員報酬に対する批判です。
なぜなら議員報酬は国会議員全員が対象ですし、全員一律でもらうため与党も野党もなく、何か言っても特定の党や議員を指すことにはならないからです。
つまり議員報酬を批判しても、言った人の身は安全というわけです。
同じ理由で議員宿舎の問題も各党に共通しますから、議員報酬への批判が止めば、次は議員宿舎が批判の対象として取って代わるかもしれません。
安全かつ確実に政治参加できる方法とは?
では、今後私たちはどのように政治参加すればよいのでしょうか。権力批判は避け、議員報酬や議員宿舎といった各党に共通する問題以外、私たちは意見を言うのを控えたほうがいいのでしょうか?そんなことはありません。意思表示のやり方を変えればいいのです。ネットで意見を言うよりも安全かつ確実に政治参加ができる方法があります。
それは選挙で投票することです。
投票すれば私たちの1票が反映されます。入れたい人がいなければ、最も当選させたくない候補者以外に入れればよいのです。誰に入れたか言う必要もありませんから批判されることもありません。これが最も安全で確実な政治参加の方法です。
たった1票と思わないでください。その積み重ねが1000人になれば1000票、1万人になれば1万票になります。1万票あれば選挙の結果を左右する力を持ちます。あなたと同じ意見が1つのまとまりとなって政治を動かすことができるのです。
ネット上で発言するのも政治参加の1つですが、自分の意見を投票に託すことこそ、有権者に保障された最良の政治参加の方法と言えそうです。
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