批判の根底にあるのは「不公平感」
国民の生活は悪化の一途をたどっています。所得の中央値が27年間で145万円も落ち、実質賃金も17%下落しています。東京都内のマンションは平均価格が1億円を超えるなど、私たち一般人には手の届かないものになっています。その一方で国会議員は高級マンションに引けを取らない議員宿舎を格安で提供されています。
また極端な円安により、海外旅行は庶民にとって高嶺の花となっていますが、国会議員は税金を使って「外遊」に出掛けます。しかも外遊先で撮ったいかにも楽しそうな観光写真を“視察”と称してSNSにアップしたりします。
議員にも夏休みを取る権利はありますし、外国に旅行する権利もありますが、その旅費は国民の税金です。自分たちは行けないのに、自分たちから吸い上げた税金で議員が観光している姿を見て「不公平感」を感じないわけがありません。
議員が本来の仕事をしていないように見える
百歩譲って、議員が本来やるべき仕事をしっかり行い、十分な成果を出してくれていれば、多少の議員優遇について国民も目をつぶるかもしれません。ところが最近、国会議員は仕事の成果よりもスキャンダルで話題を振りまくことのほうが多くなっています。自民党旧安倍派を中心とした裏金事件もその1つです。
消費税が10%に値上げされ、そこに円安と物価高騰が加わり、ただでさえ生活が苦しい国民に対し、インボイス制度を導入し、1円たりとも税逃れは許さない態度の裏で、自分たちはせっせと裏金作りをしていたことに国民はだまされた気分になり、批判の声を上げました。
それが下火になるのと入れ替わるように批判の対象となったのが議員報酬ですが、ここで1つ気になることがあります。数ある政治課題の中で、なぜ議員報酬がやり玉に挙げられたかです。
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