議員報酬の国際比較
他国との比較ではどうでしょうか?議員報酬の内訳や定義は国によって異なり、同一尺度で比較することは難しいですが、2019年3月に行われた「国会議員報酬国際比較」調査によれば、上位10カ国は図1の通りです。 この調査で日本はトップ3に入っていますが、額面通りに受け取るのは適切ではありません。なぜならこの種の調査には限界があるからです。
例えば5位のアメリカは上院と下院で支給の仕組みが異なり、場合によっては億単位で異なります。
また日本の「旧文通費」が報酬にカウントされないのと同様、ある国では議員が負担している費目を、別の国では国が全額負担するなど、条件や定義の違いで実質的な支給額が変わるため、単純に比較するのは間違いのもとです。
それにこの調査はあまりポピュラーでなく、意図して調べない限り、知ることがないデータです。
では一体何を根拠に議員報酬が批判されているのでしょうか?
それは国民生活とのギャップではないかと考えられます。
1年間働いても国会議員の2カ月分の給料がもらえない日本国民
2024年に発表された厚生労働省の「国民生活基礎調査」では、国民所得の中央値は1995年の550万円から2022年は405万円に低下し、実質賃金は1997年の指数を100とした場合、2023年は83まで落ちています。つまり“1年間働いても国会議員の2カ月分の給料がもらえないのと同じ”なのです。厚労省によれば国民の約6割が生活が苦しいと答えていますが、こんなに低下しているならばそんな声が上がるのも当然です。
一方の国会議員はどうでしょうか?
話を分かりやすくするため、「歳費」に「調査研究広報滞在費」を加えた約3400万円を議員の“実質的所得”とみなした場合、国民の所得中央値(405万円)に対し、議員の実質的所得は「国民の8倍以上」になります。
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