一緒にごはんを食べた友人の言動や、会計時のやりとりに引っ掛かる。でも、それが「嫌い」につながるわけでも、「怒り」に変わるわけでもない。
そんな、言葉にしづらい“違和感”を覚えたことはありませんか?
実はそのモヤモヤ、単なる金額の問題ではなく、金銭感覚や価値観の“ズレ”が原因かもしれません。
今回は、ランチという日常の場面を通して見えてくる人間関係と、自分の気持ちとの向き合い方について考えてみます。
「ありがた迷惑な“やたらとおごる人”」にモヤモヤ
例えば、年上の知人とランチに行ったときのこと。「ここはごちそうするわ」とさっそうと会計を済ませてくれたのですが、その後になって「あのランチ、ボリューム少なかったよね」「やっぱり、あっちのお店のほうがよかったかも」などと、不満のようなものを漏らしていることがありました。そのとき、感じたのは、感謝よりも“妙な居心地の悪さ”。確かに、おごってもらえるのはありがたいけれど、その裏にある「おごったぶんの見返りを期待している空気」や「お金を出してあげる自分に酔っている感じ」が、かえって関係を重たくさせます。
しかもこちらとしては、おごられたことに対して気を使い、お返しを考えなければいけない。そういった気疲れが重なると、その人と一緒に食事に行くこと自体がプレッシャーになってしまうことも。「そんなにもったいないと思うなら、最初からおごらなければいいのに」と、つい心の中でつぶやいてしまう……そんな経験、ありませんか?
このような場面では、お金のやりとりそのもの以上に、「どう接すればいいか分からなくなる距離感」や、「一方的な好意が押しつけに感じられること」が、モヤモヤの正体なのかもしれません。
「たかがランチ」でも価値観の“違い”が表れる
ランチは気軽なひと時ですが、その選び方・過ごし方・お会計のスタイルには、意外とその人の価値観や金銭感覚がにじみ出ます。・クーポンやポイントを上手に使って、スマートに節約する人
・少し高くても「味や雰囲気を重視したい」という人
・とにかく、安いもので簡単に済ませたい人
・食後のドリンクやデザートを当たり前のように追加する人
どれもその人にとっての「普通」であり、正解・不正解はありません。ですが、自分とは違うスタンスの人と過ごすと、なんとなくモヤモヤしたり、ちょっと気疲れしたりするものです。「たかがランチ」のはずなのに、自分と相手の“当たり前”のズレが、思わぬストレスや違和感を生むことがあるのです。
モヤモヤを解消するには「気付くこと」
違和感を覚えたとき、つい「なんであの人は……」と、相手の言動に目を向けてしまいがちです。でも、モヤモヤを解消する第一歩は、自分の気持ちを言語化することにあります。・自分はなぜモヤモヤしたのか?
・どうしてその言動が引っ掛かったのか?
・自分がランチに求めることは何か?
そんなふうに、ちょっと立ち止まって振り返ってみると、「私は2000円以内で満足できるランチがちょうどいいんだな」とか、「広々とした落ち着ける空間で過ごしたかったんだな」と、自分にとっての“心地よさ”に気付けることがあります。
また、「おごってもらえたのはありがたかったけれど、その後の自慢話ばかりでちょっと疲れてしまったな」と感じたなら、それも立派な“気付き”です。
相手をジャッジするのではなく、「自分はどんな過ごし方や会話が好きなのか」を知る機会として捉えると、これからの人付き合いにも役立ちます。
「ランチ」は、人間関係の鏡になる
ランチの時間は、その人との関係性がありのままに表れやすい場面です。気を使い過ぎて疲れる相手、心地よく過ごせる相手、一緒にいると自分の価値観が揺れる相手……。モヤモヤを感じたからといって、すぐに縁を切る必要はありません。でも、「私はこういう時間を大切にしたいんだな」「私はこういう人と心地よく過ごせるんだな」と気付けたなら、そのモヤモヤにはきっと意味があるのです。