画質で最も重要!
「コントラスト比」とは?
端的には、白と黒の輝度差がコントラスト。
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コントラスト比とは、画面の最も「明るい部分」と「暗い部分」を測定した数値の対比で、カタログ上のスペックでは、「400:1」や「800:1」などと表記されます。 輝度が高ければ、コントラスト比も有利になるので、ここでは輝度も含めて解説します。
「コントラスト比の高さ=白黒のメリハリ=映像のダイナミックな表現」であり、コントラスト比は「画質」を判断する上で最も重要な指標とされています。
オーディオに例えると、S/N比(最も大きい音と、小さい音の比率)に似た指標で、その重要性がご理解頂けるでしょう。
コントラスト比の「カラクリ」
カタログを見ると、液晶テレビが500:1~1,500:1程度の数値に対し、プラズマテレビは数年前から3000:1は当たり前、最近では10000:1以上の表記を見かけるようになりました。 では、プラズマテレビが常にダイナミックで良い画質と言えるのでしょうか? 実は、この数値には「カラクリ」が潜んでいます。
■プラズマの数値が高いのは何故?
明るい部分が多くなると、白部分の輝度の下がるプラズマ。
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まずは「明るい部分=白」。 カタログのスペック(輝度)を見ると、液晶テレビが500cd/m2程度に対し、最新のプラズマテレビの輝度は1000cd/m2を軽く超えていて、高性能に見えます。 ところが、これは「ピーク輝度」と呼ばれ、画面の一部分を光らせた場合の数値です。
明るい部分が画面に占める割合が多くなると、プラズマテレビはオーバーヒートを避ける為に、画面全体の輝度を下げる仕組みなっているので、コントラスト性能は低下しする事になります。
また、「暗い部分=黒」ですが、プラズマテレビの場合、一般的に周囲が真っ暗な状態で測定した数値を用います。 実際の家庭では、映像が放つ光の反射や照明が映り込むので、このように理想的な黒は得られず、こちらもコントラスト性能を低下させる原因となります。
■プラズマの実用コントラスト比は?
実際にコントラスト比「4000:1」を謳うプラズマテレビのブラックレベル(映像の最も暗い部分)とコントラスト(映像の最も明るい部分)を適切に調整した後、実際の映像を想定した、白と黒の面積が半々のテスト映像を映して測定すると、白の輝度はカタログ値の半分程度にまで下がり、また黒は若干明るく浮き上がり、実用的なコントラスト比は、800:1程度である事が分かりました。
■プラズマのスペック表記は嘘か?
暗い部屋で夜景のような映像を見るなら、プラズマのアドバンテージが活きる。
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プラズマテレビのスペック表記が嘘とは言えません。 例えば、夜景や夜空に浮かぶ星など、黒をベースに点々と明るい部分があるような映像では、黒の締まりも、ピーク輝度も最大限に活かされ、液晶よりも優れたコントラスト性能を発揮します。
全体が明るい映像で輝度が下がる事を指摘しましたが、これはどうでしょうか? まず、暗い部屋で、画面の輝度が明るいまま保たれたとしても、必要以上に眩しく目が疲れる原因となるので、輝度は適度に下げる方が良いのです。 また、画面全体が均一に明るいという事は、映像自体のコントラストが弱いという事であり、機器のコントラスト性能が低下していても、問題が無いのです。 これらは、人間の知覚や錯覚を上手く利用した、プラズマテレビの「マジック」と言えます。
■液晶はどうか?
液晶テレビで高いシェアを誇るシャープのAQUOSは、真っ暗な部屋を想定した「暗室コントラスト」と、明るめのリビングを想定した「明室コントラスト」として、各数値を明記しています。 他メーカーと比較すると、実用的で好感の持てる表示方法ですが、液晶ならではの特性に注意しなくてはなりません。
液晶テレビの場合、正面から見た最も良い状態の「コントラスト比」を表記しています。 斜めから見ると、カタログスペック通りのコントラスト比は得られないのです。
次のページでは、過剰なスペックとその根拠や、判断方法(結論)について・・・
■■「脱スペック比較 高画質テレビの選び方」 シリーズ記事目次■■
第一回 ~
コントラスト比・輝度 (実用上のコントラスト比が重要) (この記事)
第二回 ~ 色域 (色域の広さよりも正確な色再現性が重要)
第三回 ~ 解像度 (画素数よりも、映像エンジンが重要)