今回は、2025年度の「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の最新データをもとに、保険料率の高い都道府県と低い都道府県、その差がどのくらいあるのかみてみましょう。
公的医療保険の制度をおさらい
日本の公的医療保険制度は、全ての国民が何らかの医療保険に加入する「国民皆保険制度」に基づいています。この制度には主に3つの種類があり、年齢や職業によって加入する保険が異なります。●被用者保険(健康保険・共済組合)
会社員や公務員、その扶養家族が対象です。保険料は給与に基づいて計算され、会社と従業員が半分ずつ負担します。病気やけがで休業した場合の「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」などの給付もあります。
●国民健康保険
国民健康保険(国保)は、自営業やフリーランス、無職の方などが加入する公的医療保険です。保険料は「医療分」「支援分」「介護分」という3つの区分で構成されており、加入者の所得や世帯の人数などをもとに算出されます。
・医療分:病気やケガの治療費に使われる分で、すべての加入者が負担します。
・支援分:高齢者の医療費の一部を支えるためのもので、0歳から74歳までの加入者が負担します。
・介護分:介護サービスを支えるため、40歳~64歳の方が対象です。
これらの区分ごとに、「世帯の人数」や「所得」などに応じて保険料が計算され、上限額も市区町村ごとに設定されています。保険料の具体的な金額や計算方法は、地域によって異なります。詳しくは、お住まいの自治体のホームページをご確認ください。
●後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度は、75歳以上の方や、65歳以上で一定の障害がある方が対象です。
保険料は、均等割額と所得割率は都道府県ごとに定められており、「均等割額(全員が同じ額を負担)」と、「所得割額(所得に応じて負担額が変わる)」を足した金額で決まります。 実際の保険料については、お住まいの自治体のホームページでご確認ください。
都道府県で異なる「全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率」その差は?
健康保険制度のうち「被用者保険(健康保険・共済組合)」の1つに全国健康保険協会(協会けんぽ)があります。これは、主に中小企業で働く人、その人の扶養家族が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の保険料率についてみてみましょう。
この協会けんぽでは、都道府県ごとに保険料率が異なるのが特徴です。2025(令和7)年度の発表によると、以下のとおり、地域によって保険料率が高い支部・低い支部があり、地域差があることがわかります。
●保険料率が高い支部の例
・佐賀支部:10.78%
・徳島支部:10.47%
・長崎支部:10.41%
●保険料率が低い支部の例
・沖縄支部:9.44%
・新潟支部:9.55%
・岩手支部:9.62%
・福島支部:9.62%
全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率は、会社の所在地によって決まります。そのため、同じ年収でも、勤めている会社の場所が違えば、支払う健康保険料が変わることがあります。
例えば、佐賀県では保険料率は「10.78%」と全国で最も高いですが、沖縄県は「9.44%」と最も低い水準です。その差は「1.34%」もあることがわかります。
まとめ
協会けんぽに加入している人は、勤務先の所在地で保険料率が決まり、国民健康保険は住んでいる市区町村によって保険料が変わります。健康保険料は、加入している制度によって、どこに住んでいるか、またはどこで働いているかで負担額が変わります。協会けんぽの2025年度の場合、佐賀県の保険料率が最も高く、沖縄県が最も低いという結果に。同じ年収でも、地域によって支払う保険料に差が出ることがあるという仕組みを知っておきましょう。