コーチを多数輩出するコーチング塾を運営する現役のプロコーチであり、小学校・中学校での教員経験がある筆者が、習い事を「続ける」「やめる」「いったん休む」という選択肢を検討するための考え方を紹介します。
選択の前に「センターピン」を見つける
どの選択が最適かを考える前に、「センターピン」の考え方を知っておきましょう。これはボウリングのセンターピンのように、ここを倒せば他のピンも連動して倒れていくような、問題解決における重要な要素のことです。習い事と宿題の両立問題において、「子どもにとってのセンターピン」を見つけることが重要な鍵になります。
子どもにとって、本当の優先事項は何か
では、みなさんのお子さんにとってのセンターピンとは何でしょうか。アメリカの著名な経営コンサルタントであり、『7つの習慣』で人生の成功と幸せを実現するための原則を記しているスティーブン・R・コヴィーは、物事を「緊急かつ重要」「緊急ではないが重要」「緊急だが重要でない」「緊急でも重要でもない」という4つの領域に分類しています。
センターピンは、この中で「緊急ではないが重要」な領域に位置するものです。
宿題は「緊急」なものかもしれませんが、全ての子どもにとって同じ「重要度」を持つわけではありません。一方、習い事は「緊急ではない」けれど、子どもにとって「重要」な場合もありますし、「重要でもない」場合もあります。
お子さんにとって宿題と習い事は、どの程度「緊急」なものですか? 「重要」なものですか? まずはそれを親子で考えてみましょう。
まずは子どもの話をジャッジせずに聞く
最適な判断をするためには、子どもの本心を理解し、センターピンを見つけることが欠かせません。そのためにも、子どもの話を途中でさえぎることなく最後まで“聞き切る”ことが大切です。またその際、ジャッジや否定をしないことも肝要です。子どもの真意を測りかねたときは、「どうしてそう感じるの?」といった深掘りする問い掛けや、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)の枠組みを用いた質問によって本音を引き出していきましょう。
親子は距離が近いからこそ、感情が入りやすく、つい親は子どもの発言を否定してしまいがちです。しかし、子どもの考えや感情に寄り添い、その意見を尊重する姿勢こそが、親子の信頼関係を築くことにつながります。
最適解は子どもと一緒に見つける
宿題と習い事の両立問題に悩んだときは、子どもにとっての「センターピン」を見つけるチャンスです。「続ける」「やめる」「いったん休む」という選択肢のどれが正解かは一概にいえません。子どもにとっての「センターピン」、つまり優先事項を見極め、対処していくことが大切です。
中学生、高校生の時期は自我が芽生える重要な時期でもあります。この問題をきっかけに、子どもの話に耳を傾け、本音を引き出せる親子の関係性を築いていけたらいいですね。