旅館滞在で迷いがちなこと
それでは、最後に、旅館での滞在で迷いがちなことをご案内しましょう。■1:飲食物の持ち込みはOK?
旅館としては、館内の自動販売機や有料冷蔵庫の売上が減ってしまうので、ダメと言いたいのが本音でしょう。ただ、個人的には、部屋で寛いでいる時に持ち込んだペットボトル等を飲むのは全く問題ないと思います。ホテルと同じですね。でも、食事の時には遠慮するのがマナー。レストランに持ち込む人がいないのと同じで、必要があれば頼みましょう。旅館は料亭・レストランと同じ飲食業です。宴会や食事の時の持ち込みは遠慮(もしくは相談)しましょう。
あと、意外と旅館が目をつけているのが、お弁当やおにぎりの持ち込み。特に夏などは全館あげて食中毒対策をしているのに、持ち込んだもので食中毒を起こされても旅館が疑われ、責任を取らなくてはいけないからです。腐る可能性のある食べ物を旅館に持ち込み、いただくのはタブーと覚えておくとよいでしょう。
■2:浴衣の上手な着方は?
浴衣の帯結びは初めてだとちょっとしたストレス。でも、ほとんどの方は「腰で蝶結び」。本格的にしっかり着たいという方は城崎温泉の「ゆかた着こなし辞典」で勉強してみましょう |
だらしなく見えないコツは2点。
・「裾」が長すぎず、短すぎず、くるぶしあたりにきていること。
・「胸元や足元」がはだけていないこと。
そのためにも、背丈や幅ができるだけぴったりのものを貸していただくようにしましょう。
それと、帯の結び方。わからないと不安になりがちですが、温泉旅館ではそこまで神経質にならなくても大丈夫。帯といっても本格的に結べない簡易な帯も少なくありませんし、羽織を上から着てしまえばわかりません。第一、浴衣ではなく作務衣も増えています。
また、男性が、女性のようにウエスト(ヘソの上)で帯を締めてしまうのも変なもの。男性はヘソの下できりりと締めましょう。
■3:「心付け」を渡さなければならない?
現在では、接客をしていただく仲居さんへの「心付け」は原則一切不要です。
昭和の頃までは、旅館では「奉仕料」といってその日の担当客の支払額の15%程度を「仲居さんの報酬原資」としており、仲居さんは完全変動報酬制でした。そのため、心付けが一種のボーナス機能として働き、事情のわかった客はサービスを受ける“前に”心付け(一種の賄賂)を渡していたのです。しかし、現代では(北陸の一部地方を除き)仲居さんも固定給制となり、心付けをいただいてもサービスは一切変わりません。
あくまで、渡すなら、単純に宿へのお土産の気持ちで、「事前打合せで手間をかけた」グループや家族などが渡しています。特にそうした事情がない場合、心付けの心配は無用です(が、何かしら特別な手間をかけたと思ったら、その“後で”そっと渡すのも粋なものです)。渡すなら一般的には3000円程度が相場のようです。
それでは、思い出に残る旅館ステイをお楽しみください!