どちらも働けなくなった際に給付金を受け取れる保険ですが、保障期間や受け取れる金額に違いがあります。今回は、それぞれの特徴や違いを分かりやすく解説し、どんな人に必要かご紹介します。
就業不能保険ってどんな特徴があるの?
就業不能保険は、生命保険の一種で、病気やケガで働けなくなったとき(就業不能時)の収入減を補う保険です。給付の対象となるのは、入院や医師の指示による在宅療養、国民年金の障害等級1級・2級に該当する場合などで、「所定の就業不能状態」に当てはまると認められた場合です(条件は商品によって異なります)。
受け取れる期間は、就業不能状態が続く限り給付されるタイプ、回復するまでの一定期間だけ受け取れるタイプなど、保険商品によって異なります。給付額は、多くの場合、月額15万円や20万円など、加入時に設定した給付金を給料のように毎月受け取る仕組みになっています。
ただし、多くの就業不能保険では「支払対象外期間(免責期間)」が設定されており、就業不能状態になってもすぐに給付金が支払われるわけではありません。支払対象外期間が60日や180日など、給付が開始されるまでの期間を事前に確認することが重要です。
所得補償保険ってどんな特徴があるの?
所得補償保険は、損害保険の一種で、病気やケガで働けなくなったとき(就業不能時)の収入減を補う保険です。「就業不能」とは、入院している、または医師の指示で自宅療養している状態を指し、その判定は医師の診断によって行われます。給付金を受け取るには、診断書などの提出が必要になる場合があります。
実際に給付金を受け取れるのは、働けなくなった時点から免責期間(4日・7日など)が経過した後で、毎月一定額を最長2年間にわたり受け取ることが可能です。給付金額は、働けなくなる前の収入や所得の約6~7割に設定されます。
また、所得補償保険は掛け捨て型で、一般的に1年ごとの契約となります。補償範囲は商品によって異なり、入院中のみ補償するプランや、入院・通院・在宅療養全てを対象とするプランなど、さまざまな選択肢があります。
就業不能保険と所得補償保険、違いとは?
どちらも「働けなくなったとき」に給付金を受け取れる保険です。以下で違いを確認しましょう。●就業不能保険
・就業不能状態が続く限り給付される、回復するまでの一定期間だけ受け取れるなど、長期間にわたる保障
・契約時に決めた金額(例:月額15万円や20万円)を、就業不能状態が続く限り毎月受け取れる
●所得補償保険
・短期間の保障が中心(一般的に最長2年ほど)
・給付額は、実際の収入の範囲内(所得の6~7割)で決まる
長期間の備えを重視するなら就業不能保険、短期間の収入減を補いたいなら所得補償保険が向いています。
就業不能保険・所得補償保険が必要な人は?
就業不能保険・所得補償保険が特に必要なのは、公的な保障が少ないフリーランスや自営業の人です。これらの人は、病気やケガで働けなくなっても会社員のような「傷病手当金」がなく、収入がゼロになる可能性があります。また、「障害年金」も会社員に比べて受給額が少ないので公的保障だけでは生活を支えるのが難しいケースが多いのが現状です。さらに、一人暮らしであれば、収入が途絶えることで、家賃や光熱費、食費などの固定費の負担が重くのしかかります。貯金が十分であればいいですが、長期間の療養になると不安が募ることもあるでしょう。そのため、就業不能保険や所得補償保険に加入し、万が一に備えておくことが重要です。
一方、会社員や公務員は比較的手厚い公的保障を受けられます。「傷病手当金」によって最長で通算1年6カ月間、給与の約3分の2を受け取れ、さらに障害認定を受けると「障害厚生年金」も支給されるため、一定の収入を確保できます。
このように、公的な保障の違いを考慮しながら、自分に必要な保険を検討することが大切です。