人間関係

満員電車の「リュック前抱え」も迷惑行為に?朝から嫌な気分にさせられるNGマナーの根本原因

満員電車内でリュックを「背負う」のは迷惑行為。そう思って「前抱え」にしている人は多いはず。それが今では前抱えも迷惑だという声が上がっているという。では、電車乗降時に人に迷惑をかけずにいるにはどうしたらいいのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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電車乗降時にはマナーの悪い客にたびたびうんざりさせられる

電車乗降時にはマナーの悪い客にたびたびうんざりさせられる

電車内のマナーとして、以前はリュックを前に抱えるのが定番だったが、それも今は昔。手に持っていることを推奨する電車もあるという。いずれにしても、「人に迷惑をかけない」のが鉄則ではあるが、どの程度マナーに敏感かは個人差が大きすぎるのも事実だ。

降車駅が近づくと「ぐいぐい押す人」

「自分が降りる駅近くになると、やたらぐいぐい押してくる人っていますよね。まだ止まってもいないのに。私だって降りるのに……。だから押された時は『私も降りますから』とちょっとキレ気味に言うこともあります」

マナミさん(37歳)はそう言う。一般的に、人は自分が降りる駅の階段やエスカレーターの位置に合った場所に乗車する。だが、時には降りる人が少ない場所に乗ってしまうこともあるだろう。

「ドア近くに立っていたんですが、電車がある駅に止まったものの、降りる人の気配が感じられなかったんです。しばらくしてから、奥の方から若い男性がぐぐっと出てきた。何も言わないまま前の人を押しながら。年配の女性が『お兄さん、降りるなら降りるって一言いって。そうしないと誰も場所を空けてくれないよ』って。周りも思わず、『よく言った』という雰囲気になりました」

最近の電車内では、とにかく声を発する人が少ない。いったいいつから、人はこんなに無言を好むようになったのだろう。

イライラ感ばかりが車内にまん延

「私が子どものころなどは、もっと人々が声を掛け合っていたような記憶があります。私も20代前半のころ、後ろから押されながら『降りまーす』と出ていったことがあるんですが、人の足がパンプスに当たって脱げちゃったんですよ。

でも押されていたので、そのまま降りるしかなくて。思わず『靴が脱げた!』と叫んだら、父親世代の人が『ここにあるから、ホームに投げるよ』と言ってくれて。人の手をわたって、窓からパンプスがポンと放られてきた時は思わず、笑いながら『ありがとうございましたー』と叫びました。あの時代はよかったなと最近、思うことがありますね」

無言で殺伐とした雰囲気の中、人のイライラ感だけが車内にまん延していく今の空気が時々耐えられなくなるとマナミさんは言う。

スマホを見ていて「降車駅に気付かない人」

ドア前にでんと立ち、何があっても動かない人もいる。

「降りますと言ってるのにどいてくれない。いったいどうなってるのと少し押したら、振り返ってにらむ。でもその人、スマホを見ながら耳にはイヤホン。これじゃ車内の様子を感じ取ることもできませんよね。だったらドア前に立つなと言いたくなる」

そもそもみんなスマホを見すぎだとマナミさんはため息をつく。スマホばかり見ているからドアが開いても気付かず、降りるタイミングが遅くなる。後続者はイライラする。その悪循環だ。

「のろのろと降りて、エスカレーターに向かうのか向かわないのか、よく分からない人もいる。追い越しながらチラッと見ると、スマホを見ながら歩いている。だからやけに遅いんですよね。電車の乗降時にはスマホなんか見るなよと言いたくなります。周りだけでなく、その人自身にとっても危険ですから」

人に迷惑をかけるなと声高に言う人が多い一方で、人に迷惑をかけている人も増えているのではないかとマナミさんは言う。結局、自分のことは棚に上げたり気付かなかったりするだけのことなのかもしれない。

迷惑をかけないよう防げることもある

「生きていれば、人に迷惑をかけることは多々ある。でも、乗降時にスマホを見るのをやめるだけで、みんながスムーズに乗り降りできるんじゃないかと思うんですよ。つまり、迷惑をかけないよう防げることもたくさんある。声をかけながら降りるのも、周りの雰囲気がなごむし。以前、降りようとした人が他の人にぶつかった時、『ごめんなさい。大丈夫ですか』『大丈夫ですよー』というやりとりが聞こえてきて、こういうのっていいなと心からホッとしたことがあります」

パーソナルスペースが冒されるような電車内では、少しでも人も自分もイライラしないようにするしかない。

「みんながそう思えば、満員電車での小競り合いはなくなるのになと思います。満員電車で人が怒鳴り合ったり、舌打ちしたりするのが聞こえてくるのは嫌なものですからね」

揺れた時、ついうっかり隣に立っていた女性にぶつかってしまい、謝ったにもかかわらず強烈な肘鉄を食らったことがあると彼女は笑った。

「毎日、会社に着くまでが闘いになっている。明るい1日を送りたいのに朝から嫌な気分になることが多い」

ほんの少しの心のゆとりが必要なのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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