
【画像1】左:東ハト「パックル」、右:明治「カール」 ※画像出典:東ハト Webサイト、明治 Webサイト
「カール」は、2017年夏以降は西日本地域のみでの販売となっていますが、その間を縫うようになのか、「パックル」は東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬・山梨・新潟・長野という東日本地域のみでの先行販売となりました(※順次全国発売するとしています)。
「カール」と「パックル」のパッケージを見比べてみましょう。SNSでは、パッケージの色合いといい、パッケージ中央に商品名を大きく表示するところや右上の「サクッ」の文字など、全体的に「パックル」が「カール」に寄せているという声が上がっていました。中には「パクリでは?」と投稿する人も。
法的に「パックル」は「カール」をパクっていると言えるのでしょうか。
「パクる」とは、具体的にどのような法律が問題になるのか
「パクる」とは、デジタル大辞泉によると、「他人の作品・アイデアを、自分のものとして発表すること」をいい、つまり、「盗用・盗作をすること」です。特に著作権が問題になるような場面で「パクる」という言葉をよく見かけます。イラスト、音楽、映画、小説……それらが何か別の作品に似ていると「パクリ」だ、という意見が出てくることがよくあります。そうした著作権のほかにも、商標、意匠、そして不正競争防止法という法律も「パクリ」と言えるかどうかの判断において重要となります。
そこで、東ハトの「パックル」が、明治の「カール」をパクっているのかを、著作権、商標、意匠、そして不正競争防止法の観点でそれぞれ検討してみます。なお、この検討に当たっては、見た目で判断できる「商品名」「お菓子の形」「商品のパッケージ」の3つの要素で検討していきます(お菓子の作り方など、見た目で判断できない要素は今回検討しないこととします)。
「パックル」という“商品名”は何か問題があるのか
まず、この「パックル」という商品名ですが、この商品名は東ハトが「菓子及びパン」にこの名前を使用するための“商標権”をすでに取得しています。しかも1991年とかなり前の取得です。その頃からこのお菓子を販売する構想があったのかどうかは分かりませんが、「菓子及びパン」に「パックル」という名称を付けて販売する権利が東ハトにはあるということです。これまで「パックル」という商品が東ハトから販売されたことはなかったと認識していますので、1991年に商標権を取得して以降、なぜ今このタイミングでこの名前を使うことになったのか、その経緯などには個人的に少々興味がありますが、もしかしたら満を持して発売した商品なのかもしれません。
商標権を東ハトが取得していますし、「パックル」と「カール」の名前はそこまで似ているとは言えないので、商品名という部分では特段問題ないと考えてよいでしょう。
さて、問題はお菓子の形とパッケージですね。
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