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箱根駅伝、厚底シューズの次は“高機能ソックス”旋風!? 好記録が相次ぐ裏側に「3本指ソックス」の存在

“厚底シューズ旋風”が起きてから、箱根駅伝ではどんどん速い記録が生まれるようになりましたが、その裏側では、近年、ランニングソックスに革命が起こりつつあります。特に3本指ソックスは箱根駅伝でも着用されており注目のアイテムです。

藤枝 秀幸

執筆者:藤枝 秀幸

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厚底シューズの次は「3本指ソックス」に注目が集まっています ※画像はイメージ

厚底シューズの次は「3本指ソックス」に注目が集まっています ※画像はイメージ

今年の1月2~3日に行われた第101回箱根駅伝は、青山学院大学が10時間41分19秒の大会新記録で優勝しました。このタイムは、10年前に青山学院大学が初めて箱根駅伝で優勝したときのタイムより、8分以上速いタイムです。

このような優勝タイムだけでなく全体的にも箱根駅伝の記録は年々速くなってきているのですが、その一因として、NIKE、adidas、アシックスが発売している厚底シューズの影響は大きいと言えます。

筆者もランニングをしているので、厚底シューズにより明らかに今まで以上に速く走れるようになったと実感しています。箱根駅伝の距離(20km程度)でいうと、従来のシューズよりも1分近く速く走れるのではという感覚があります。

このように厚底シューズが好記録に大きな影響を与えている裏側で、実は近年、「ランニングソックス」にも“特許技術”が用いられるようになり、好記録を生み出すアイテムの1つとして注目が高まりつつあります。
 

好記録を支える3本指ソックス

特許技術を用いたランニングソックスの中でもとりわけ注目したいのが、3本指ソックス「Three grips(スリーグリップス)」です。今年の箱根駅伝では、総合3位の國學院大學と総合7位の創価大学のランナーがこの3本指ソックスを着用して走っていました。

特に総合3位の國學院大學は、箱根駅伝の前に開催された第36回出雲駅伝と第56回全日本大学駅伝ではそれぞれ優勝しており、これらの駅伝でも「スリーグリップス」を着用して走っていました。これらの大学は、メーカーの提供により練習時からこの3本指ソックスを使用しているとのこと。

また、5年前の第96回箱根駅伝から4年間、毎年のように区間新記録を出していた東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手も「スリーグリップス」を着用して走っていました。

この3本指ソックス「スリーグリップス」が特許を取得したのは2025年1月ですが、ここ数年、このような特許を取得した高機能なランニングソックスが徐々に増えています。

では、「スリーグリップス」はどのような特許技術が用いられて、どのような部分で優れたものなのでしょうか。「スリーグリップス」の特許技術は図1のような特許図面(特許番号7617617号)で表されています。
図1:3本指ソックスの特許図 ※画像出典:特許情報プラットフォーム

図1:3本指ソックスの特許図 ※画像出典:特許情報プラットフォーム

特許技術の主な特徴は以下の2つです。

特徴1:第1の指袋に親指を、第2の指袋に人差し指と中指を、第3の指袋に薬指と小指を収納できるようにすること。

特徴2:足裏のゴム部分(図1の数字「10」が振られている部分)によるアーチ形成・保持機能。

「特徴1」は、人間工学的に同じ作用を持つ指をまとめることで最大限の力を発揮できるという、「三点歩行理論」に基づきます。これにより、足の指の力を最大限使えるようになることで、推進力を生み出せると考えられます。特許文献の中でも、3本指にすることにより、「足の指から作り出される押し出しや蹴り出しの力が、より効率よく発揮される」と記載されています。

そして「特徴2」により、足裏にアーチが形成され、ランニング中も保持されることで、そのアーチがクッションのような役割を果たし、ランニング中の着地衝撃を抑えられるようになります。特許文献の中でも、「足底のアーチを強固にサポートすることによって、疲労軽減に多大な効果を発揮することが期待できる」と記載されています。

このようにランニングにおいて非常に効果的と思えるこの3本指ソックスですが、筆者もマラソンを走る者ですので、実際に着用して走ってみました。

>次ページ:実際に3本指ソックス「スリーグリップス」を着用して走ってみたら
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