人間関係

「どうしてきみに似たんだろう」「メシがまずくて働く気がしない」最低なモラハラ夫にキレた義母(2ページ目)

夫は月に数回ただただ不機嫌になり、八つ当たりをしてくる。義母は息子は気分にムラがあることを良く知っており、嫁である自分を常にかばってくれるのだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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義母をますます好きになる私

「以前から義母は、さらりとかっこよく私の味方でした。出産後もみんなが赤ちゃんへのお祝いを持って来てくれる中、義母だけは私にすてきなスカーフをくれたんです。『赤ちゃんの世話に疲れたら、このスカーフをして遊びに出なさい。私が子どもを見てるから』と言ってくれた。その一方で、自分の息子がムラのある性格だとも分かっていたみたいです」

だが義母に対し、事細かに夫の言葉を告げ口する気にはなれなかった。なんだかんだ言ってもあちらは親子。息子の悪口を聞かされてうれしい母親はいないだろう。だが、義母はカエデさんの想像を超えた器の持ち主だった。

「ずっと我慢してるんでしょ、あいつが何を言ったか教えてと義母が言い出して。夫がキレた時、こっそり録音したことがあったから聞かせたんです。すると義母は顔を真っ赤にして怒り出した。そして『もういいわよ、離婚して』って。こんな男と一緒にいたら、あなたのいいところがつぶれてしまう、とりあえずプチ家出しなさいって」

あまりに義母が勧めるので、今年の夏休みに子ども2人を連れて、近場の温泉に旅行に行った。夫に黙ってある日突然、出かけたのだ。「探さないでください。そのうち連絡します」という置き手紙を置いて。これも義母の企みだ。そして義母は一緒についてきた。

「子ども2人と義母と私で数日間、旅行をしたんです。レンタカーを借りてドライブしたり、子どもたちはホテルのプールで楽しんだり。みんなでホテルでバーベキューもしました。『ほらね、あいつがいなくても楽しいでしょ』と義母が私をハグしてくれた時、私、思わず涙が出ました」

そのころ、夫はカエデさんに必死に電話をし、つながらないため義母にも連絡。これもつながらず、実家を訪ねたが誰もいないことでかなりパニックになったらしい。

「私は夫に連絡した方がいいんじゃないかと思ったんですが、義母は『少しは思い知らせてやりなさいよ』って。3泊4日、4人で遊び倒して、挙げ句、く支払いはすべて義母がしてくれました」

義母の言動で夫のモラハラはどうなった?

ようやく自宅に戻ると、週末だったため夫が1人リビングでぼうっとしていた。カエデさんが何か言おうとした時、義母が「私がカエデさんたちを旅行に連れだしたの。あんた、自分だけがストレス抱えていると思っているかもしれないけど、カエデさんにはあんたの存在そのものがストレスなのよ。大人になりなさいよ、父親なんだから」と言いたい放題。

「あんた、カエデさんに見捨てられても不思議はないと思うよ。カエデさんは何も言わないけど、私は分かってる。あんたが暴言吐くところを見てるから」

そこまで言われた夫は、「分かってる。カエデに謝ろうと思ってた」とポツリと言った。あ、そう、じゃあねと義母はさらっと帰ってしまった。

「思わず夫と顔を見合わせて笑ってしまいました。お義母さんらしい、と。言いたい放題でさらっと去っていく。でもあの義母の言動に救われました」

以来、数カ月、夫のモラハラはなりをひそめている。ストレスがたまっていそうだなと思うと、カエデさんはこっそり義母を呼んで食卓を囲む。義母は息子に軽口を叩き、孫たちを褒めそやして帰っていく。

「一時期、私は本気で離婚も考えました。でも義母がいる限り、離婚はしたくない。今後は夫とももっときちんと向き合っていこうと思っています」

70歳になったばかりの義母は、ますます意気軒昂でパワフルな毎日を送っているそうだ。
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