人間関係

取引先への「異動のあいさつ回り」はリアルが必須?タイパが悪いだけ?26歳若手社員の言い分(2ページ目)

年長者から見れば「社会人として何かを忘れている」と感じる若手社員はいる。そんな時、周囲はどう対処すればいいのだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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頼むことができないのも課題

ショウタくんは、周囲に仕事を頼むことができないのだとユリエさんは指摘する。

「自分がテンパっていても、それを周囲に知られたくないらしく隠す。誰か助けてと言えばすぐにでも手を差し伸べるのに、彼がどんな仕事をどこまでやっているか分からないから手の出しようもないんです。声をかけても大丈夫ですと言うだけ。

かといって私が騒ぎ立てても彼の立場を悪くするだけだし。本当はどう思っているのか、彼の本音を聞き出したいんだけど、仕事についての本音は言わない」

世間話や趣味だという野球の話ならいくらでもするのに、仕事に関しては妙にかたくななのだという。

「自分が仕事できないと思われたくないんでしょうね。でも彼は仕事ができないというよりは段取りが分かってない、うまくいくコツをつかんでないと言った方が正しいような気がするんです。もうちょっと素直になって、こういう場合どうしたらいいんですかって聞いてくれればいいんですけどね……」

レッテルを貼ってはいけない

かたくなになった人の心を溶かしていくのは難しい。彼に「仕事ができない」というレッテルを貼ってはいけないとユリエさんは言う。

「だからといって心を開かない人に開けとは言えない。彼の上司とも今、話をしているところです。私は異動になったばかりなので、少し彼と離れたところから彼の上司たちと一緒にサポートしていけたらいいなと思っています」

彼のいいところを見て、どうやったら彼の能力を伸ばしていけるのかをなんとか考えていきたいと語るユリエさん。こんなすてきな先輩がいるのだから、ショウタくん、早く気づいて甘えればいいのにと感じてしまう。

「社会人になった最初に先輩が教えるべきことだった。その時の私たちの同僚がいけないのか、聞こうとしなかった彼がいけないのかは分かりません。でも今ならまだ間に合う。あるいは彼が、もっと効率重視の会社に転職したいというならそれでもいい。仕事が人を追い詰めたり人を曲げてしまったりしてはいけないと思うんです。普段の彼は決して感じの悪い人ではないだけに、心配でならないんですよ。余計なお世話だけど」

どんな仕事も最後は人間性がものを言う。ユリエさんの言葉が重い。
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