人間関係

「なぜ僕なのか?」「聞いているのが地味につらい」上司の家族自慢にうんざりする若手社員たち(2ページ目)

今の時代、若い世代が自分と同じ価値観でいまだに生きていると思うと、思わぬ迷惑を賭けている場合や、時代遅れのレッテルを貼られていることがある。特に「ご家庭自慢」をしてしまった日には、それが顕著である。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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世間話にも気を遣う時代

家庭の話を何気なくしたつもりであったとしても……

家庭の話を何気なくしたつもりであったとしても……

今の時代、私生活の形態や興味のありようが細分化されているから、日常会話すら難しくなっているのかもしれない。それは単なる世代間ギャップではない。自分の興味のないものには、一切の関心を持たない人たちが多くなっていると言えるのではないだろうか。

「多様な価値観というけど、多様というより個人の価値観だけがはびこっているような気がします」

そういうのは28歳のアキラさんだ。

「僕の上司も、家庭自慢をするんですよ。『家庭というものが、男の人生を豊かにし、救ってくれるんだ』と。彼の場合はそうだったかもしれないけど、少なくとも僕はそうは思っていない。若い者が新聞を読まなくなったとか世間の出来事に関心をもたなくなったとか言われるけど、年代の問題じゃないと思います。

その上司、ほんっとに世間の話題に関心がないんですよ。選挙の時だって、『オレ、選挙って行ったことないんだよな』と問題発言、さらに有名人の不倫が話題になると『みんなオレみたいに幸せな家庭を築けばいいのになあ』と明後日の発言。もう誰も彼には話しかけませんが、上司の方からは、今日は子どもの誕生日でさと話しかけてくる。だから何、知らんがなと言いたくなりますよね」

上司の家庭自慢が止まった!?

世間の出来事くらい把握しておくのが社会人のありようだろうが、今の時代、40代半ばの上司でさえ、そういうことには目を向けないのだという。

「ところがこの半年くらい、その上司が家庭自慢をしなくなった。どうしたのかと思っていたら、同僚がこっそり『妻が浮気して大変なことになっているようだ』と。上司の家は共働きなんですが、どうやら奥さんは非常に仕事ができて出世も早かった人。夫に物足りなさがあったんでしょうか。自分の同僚と浮気していたらしい。奥さんの会社では問題になっていないようですが、家庭では修羅場になっているみたいで」

上司の「家庭自慢」は、ただの虚飾だったのか、あるいは上司の心からの叫びのようなものだったのかと部内では噂が乱れ飛んでいるそうだ。

「家庭自慢がなくなったのはよかったけど、上司が不幸になればいいと思っているわけではないので、ちょっと気の毒だとは思います。ここで妻の不倫をあっさり受け止め、さらに家庭自慢をしてくるようになれば、太っ腹だなと見方も変わるかもしれませんが」

幸せなんて、あっけなく崩れ去る危険を常にはらんでいるもの。今後、上司にどうやって対応しようか、アキラさんは同僚たちと密かに話し合っている。
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