お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

57歳貯金690万円。夫は60歳以降、ボーナスと給与がカットされるので不安です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は57歳の派遣社員として働く女性です。夫の収入が60歳以降、下がることで老後の生活を心配されています。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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子どもにお金はかからなくなりましたが不安です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は57歳の派遣社員として働く女性です。夫の収入が60歳以降、下がることで老後の生活を心配されています。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
夫60歳以降の生活が心配です

夫60歳以降の生活が心配です

■相談者
ママちゃんさん
女性/派遣社員/57歳
東京都/持ち家(一戸建て)

■家族構成
夫(会社員・57歳)、子ども(23歳)

■相談内容
60歳以降、夫のボーナスがなくなり、給与も今よりさらにカットされるので不安です。私は無期雇用派遣で70歳まで働くことができ給与アップあり。家も5年前に建てたばかり。住宅ローンは70歳過ぎまであります。子どもにお金はかからなくなりましたが不安です。

■家計収支データ
相談者「ママちゃん」さんの家計収支データ

相談者「ママちゃん」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
2回分の固定資産税約7万6000円を支払ったあと、残りは全て貯金しています。

(2)住居費について
住居費15万円の内訳は、毎月約9万円の住宅ローンのほかに、外構などのローンが月6万円弱、あと5年ほど返済あり。ボーナス返済はなし。火災保険は夫の給与天引きで月3000円ほど。ローン残額は不明。

・購入価格/2430万円
・ローン借入額/2430万円
・借入金利/0.45%
・返済期間/23年
・毎月返済額/9万円

(3)自動車について
2台所有。私の車はマイカーローンで1万6000円の返済が9年後まで。買い換えは10万キロになってから。

(4)加入保険について
・生命保険(死亡保障各1000万円)=毎月の保険料5000円(夫婦2人分)
・医療保険=毎月の保険料8000円(夫婦2人分)
・個人年金保険(60歳で10年確定、年金額40万円)=毎月の保険料1万円

(5)子どもについて
第1子はすでに結婚して別居。同居の子どもからは月2万円家に入れてもらっている。

(6)働き方、退職金について
夫の退職金は出るみたいですが、額は分かりません。いまの会社は入って7年です。60歳以降、どのくらいの収入になるのか不明。私は自分が希望する限り働ける環境です。今は無期雇用派遣で月28万円。近く正社員へとお話をいただいています。

(7)公的年金について
年金は、夫の分しか分かりません。老齢基礎年金70万2250円、老齢厚生年金155万1000円。

(8)家族旅行について
年に2回、家族旅行しています。2泊3日だと15万円弱。1泊2日で10万円ほど。子どもの希望のホテルだとホテル代を子が半額出してくれます。

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 毎月の貯蓄がきちんとできれば、65歳までに2000万円は貯まる
アドバイス2 65歳以降の働き方、収入次第で金融資産からの取り崩し額は変わる
アドバイス3 人生最後の貯めどき。将来の安心のために、今貯蓄を頑張って

アドバイス1 毎月の貯蓄がきちんとできれば、65歳までに2000万円は貯まる

いただいたデータに不明な点がありますので、分かる範囲でアドバイスいたします。

まず、現在の家計収支ですが、手取り収入50万円に対して、支出が35万8000円で収支差は14万2000円あります。家計は変動するものですが、毎月の貯蓄が2万5000円のみということはないでしょう。13万円は貯蓄できるのではないでしょうか?

毎月13万円の貯蓄ができれば年間156万円。ボーナスから固定資産税などの支払いのほか、家族旅行の費用25万円を差し引いても、100万円は貯蓄できるとします。合計256万円です。ご主人が60歳までになる3年間で768万円の貯蓄ができます。

今ある貯蓄の690万円に768万円を加えた1458万円が60歳時点での金融資産となります。加えて個人年金に加入されており、総額で400万円の受け取りがありますので、1858万円になります。

ご主人が60歳以降、収入が3割減になったと仮定すると手取り16万円。ご相談者の収入が継続するなら世帯収入は41万円で、手取り年収492万円となります(子どもからの2万円は考慮せず)。

一方、支出が現状どおりだとして、個人年金の保険料の払込みが終了しますので、1万円マイナスの34万8000円です。約34万円として年間で408万円。約400万円とします。年間収支の差が92万円ありますが、固定資産税などの支払いを考慮しても、60歳以降も76万円ほどは貯蓄できることになります。65歳までは家族旅行に25万円使っても約50万円。65歳までに250万円は貯蓄の上乗せができます。ここまでを合計すると2108万円です。

アドバイス2 65歳以降の働き方、収入次第で金融資産からの取り崩し額は変わる

65歳以降になると、さらにデータでは不明な点が多くなりますので、あくまでも概算になります。

65歳からご主人の公的年金が225万円あり、手取りにすると180万円ほどです。本来はご相談者も65歳から年金の受給ができますが、70歳まで働けるということであれば、年金は繰り下げて受給額を増やしてもいいでしょう。

ご主人が65歳以降も働くのか、ご相談者が働いて得られる収入がいくらかにもよりますが、年間の支出が480万円程度であれば、公的年金の150万円を差し引いた300万円の収入があれば、65歳時点の金融資産はキープでき、70歳以降の生活費に充てていくことができるでしょう。

また、現在から5年後には外構などのローンの支払いが終わります。その分を貯蓄したとすれば、年間72万円、70歳までに576万円が積み上がっていますので、70歳時点の金融資産は2684万円となります。

アドバイス3 人生最後の貯めどき。将来の安心のために、今貯蓄を頑張って

これ以降は、ご相談者の公的年金がいくらになっているのか次第です。夫婦の年金で生活ができれば、2684万円は旅行費用に充てることもできますし、もし年金で不足するとしても、年間50万円であれば53年、年間100万円であれば26年(夫婦ともに96歳)持たせることができます。

住宅ローンは75歳まで続きます。現状の貯蓄では繰り上げ返済は難しいのですが、70歳時点での金融資産がある程度あれば、まとめて一括繰り上げ返済も可能です。しかし現時点では確定的なことは言えません。

繰り上げ返済ができれば、70歳以降の生活コストはその分下げられ、公的年金の範囲で生活することも可能になるでしょう。

いろいろ不確定な要素がありますが、将来の安心のために今大事なのは、現在の家計からしっかりと貯蓄をすること、夫の退職金はいくらなのか、自分の公的年金額を把握することです。その上で、60歳、65歳以降の働き方や支出の管理をどうするか考えるべきです。もしも毎月の貯蓄がデータどおりであれば、大幅に支出の見直しをしなければなりません。

ここまで、2人の子どもの教育費や住宅購入などで出費がかさんできたかもしれませんが、今が人生最後の貯めどきです。夫婦で家計、貯蓄プランをもう一度ご相談なさってみてくださいね。

相談者「ママちゃん」さんから寄せられた感想

的確なご意見をいただき、本当にありがとうございます。ずっと不安でしたが、貯金を頑張っていこうと背中を押していただいた気がします。アドバイスをよく噛み締めて日々まい進します。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
 
 
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