雇用保険の要件緩和は要チェック!
井戸さん:2025年4月以降、自己都合退職時の失業保険の給付制限が緩和されます。現在、自己都合で会社を辞めた場合、失業手当を受け取るまでに2カ月待つ必要がありますが(給付制限)、これが1カ月に短縮されます。その結果、自己都合で退職した場合でも、より早く失業保険の給付を受け取れるようになり、生活の安定を早期に図ることが可能になります。これは、大きな改善といえるでしょう。
また、2028年10月には雇用保険の加入要件が緩和される予定です。これまで、週20時間以上働いている人が対象でしたが、2025年以降は週10時間以上働く人も加入対象になります。例えば、週2日間、1日5時間働くだけでも条件を満たすことになるため、加入者が大幅に増えると予想されます。
「雇用保険に加入したくない」という方もいるかもしれませんが、保険料以上のメリットがあります。失業保険に加えて、育児休業や介護休業、教育訓練給付金など、さまざまな給付を受けられるため、非常にお得な制度です。困ったときにすぐ利用できる点も魅力です。
2025年以降はどう変わる? チェックしておきたい「もらえるお金」の変更点
リスキリングやスキルアップ支援で新しい制度が誕生!
井戸さん:さらに、2025年10月から「教育訓練休暇給付金」が創設される予定です。この制度は、厚生労働省が指定する教育訓練を受講するために会社を休む場合に適用され、雇用保険の基本手当(失業給付)と同額が「教育訓練休暇給付金」として支給されます。この制度を利用するには、雇用保険に5年以上加入していることが条件です。受給期間は、雇用保険の加入期間に応じて90日、120日、150日の3つの受給期間が適用される見込みです。
ただし、この制度を導入予定の企業はまだ少ないとされ、普及には課題があるかもしれません。しかし、制度を活用できるようになれば、資格取得やスキル習得に専念しやすくなるため、導入する企業が増えることを期待したいですね。
教えてくれたのは……井戸 美枝さん
社会保険労務士/CFP/経済エッセイスト
社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員を歴任。国民年金基金連合会理事。講演や執筆活動を通じて、幅広い世代に年金や社会保障、税金に関する情報をわかりやすく解説・発信している。テレビや雑誌にも多数出演し、特に老後資金や年金に関するアドバイスで多くの支持を集める。著作に『マンガでカンタン!社会保障で得するお金は7日間でわかります。』(Gakken)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)など。