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ワクチンによって打ち方が違う? 皮下注射と筋肉注射の違いとは
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症に備えて受ける予防接種。多くのワクチンは「注射」で接種しますが、実は「皮下注射」と「筋肉注射」の2種類があります。違いを分かりやすく解説します。
皮下注射とは……皮膚の下にある組織に注射液を入れる注射
「皮下注射」は、皮膚の下にある組織(皮下脂肪など)に針先が到達するように注射針を刺し、ワクチンなどの注射液を注ぎ込む方法です。皮膚を少しつまむようにして、接種する箇所に針を30~45度傾けて刺します。現在の日本では、インフルエンザの予防接種は「皮下注射」で行われます。筋肉注射とは……皮下組織よりも奥の筋肉に注射液を入れる注射
「筋肉注射」は、皮下組織よりもさらに奥にある筋肉まで針先が到達するように注射針を刺し、注射液を入れます。接種する箇所に針を垂直に刺します。真っすぐに刺し入れないと、針の先端が筋肉内に届かないからです。新型コロナウイルスのワクチンや、子宮頸がん予防を目的としたHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種では、こちらの「筋肉注射」が採用されています。それまでインフルエンザの予防接種くらいしか受けたことがなかった人が、新型コロナウイルスのワクチンの接種で、「針をブスッと刺された」と言われていたのは、打ち方が別の注射だからです。
皮下注射と筋肉注射の違いは? それぞれのメリット・デメリット
それでは免疫力を獲得するためには、皮下注射と筋肉注射のどちらの方が効果が高いのでしょうか? それほど大きな差ではありませんが、どちらかというと、筋肉注射の方が免疫がつきやすく、副反応も少ないと言われています。注入されたワクチンが筋肉内にとどまることで、効果が持続しますし、他の場所にワクチンが拡がって余計な副反応を引き起こす可能性が少ないからです。そのため、世界的には、予防接種時の注射は筋肉注射が主流です。では日本では、なぜ皮下注射の方が多いのでしょうか? それは、かつて筋肉注射によって筋肉や神経が傷つき、後遺症に苦しんだ方がいたことを受け、日本では筋肉注射を避ける傾向が生まれたためです。
海外から導入された新型コロナウイルスワクチンなどのワクチンは、もともと海外で筋肉注射が採用されたため、日本でもそのまま筋肉注射で用いられることになりました。しかし日本国内で開発・試験が行われたインフルエンザワクチンは、筋肉注射ではなく、皮下注射を採用しているという事情があります。
筆者自身は、新型コロナウイルスワクチンを2回接種しましたが、そのいずれも注射された腕の部分が数日硬くなり、痛みが残りました。これは、ワクチン製剤の性質と、筋肉注射であることを反映しているものと思われます。一般的には筋肉注射よりも皮下注射の方が痛く感じやすいのですが、筋肉注射では筋肉内の狭い間隙に注射液を入れるために、まれですが筋肉にダメージが残ることがあるのです。
ご自分が受ける注射が、皮下注射なのか筋肉注射なのかが気になるときは、接種前に医師に尋ねてみてください。