育休と有休を「使い切って退職」したケース
同僚女性が育休後に辞めたのをそばで見ていた経験があるというサエコさん(40歳)。「私自身、31歳の時に出産、保育園に入れるまで育休を延長してもらってから復帰しました。すると同僚のカヨが、育休取って手当ももらって辞めるというのもありだよねというので、意図的にそういうことやっちゃダメでしょと言ったんです。事情が変わったならしかたがないけどと言ったら、そうか、と」
その1年後、カヨさんは出産、育休に入った。そして育休と有休をめいっぱい使ったあと退職したのだという。
「彼女、妊娠していない段階から、育休を取ってから辞めてもいいのかなとあちこちでつぶやいていたようで、辞めた時は計画的だったんじゃないかとうわさされていました。でも結局、復帰する意志はあったものの、生後1年たってお子さんに病気が見つかったんですって。
あとから本人に連絡をとったら結構な難病で、とても仕事は続けられなかったようです。でも彼女は、会社であとあとまで悪く言われていたから、下手なことを言うと疑われる可能性があるんだなと学びましたね」
悪用はダメ、妙な疑念を持つ人もいる
サエコさんは第二子出産後も育休をめいっぱいとった。今、焦って早く復帰するより子どもが保育園に少しでも慣れてからと、じっくり構えることに決めたのだという。「産休も育休も、そして育休手当も、労働者の権利だから、きちんと申請してきちんともらうべきだし、使える制度は使った方がいい。産後はこっちも疲れているから、無理だってできませんし。だけど、それを悪用してはいけない。当然のことですよね。悪用する人なんて、ほとんどいないと思うけど、なかには妙な疑念を持つ人もいなくはないから」
育休をとった時、いいわね、独身は休めないからねと先輩女性に嫌みを言われたとサエコさんは言う。
「でも、そういうのは気にしていたら始まらない。じゃあ、あなたも産んだらどうですかと言ったら角が立つ。すみません、よろしくお願いしますとヘラヘラしながらやり過ごすのが一番です。何でも真に受けていたらストレスまみれになっちゃいますから」
たくましく生き抜いていかなければねと、サエコさんはウインクして見せた。
<参考>
・「育児休業給付の内容と支給申請手続」(厚生労働省)
・「育児休業給付金 申請前に、確認してますか?」(ハローワーク磐田)