人間関係

「年収の壁」を超えた元専業主婦に夫は言った「きみが扶養を外れるほど稼ぐなら、生活費は…」

専業主婦をやっていたら「誰が食わせてやっているんだ」という態度を漂わせ、仕事を始めれば不機嫌をまき散らす夫。家族のために専業主婦になった女性は、いつしか「夫の扶養から外れる」ことを目標に仕事にまい進した。そしてついに、その時が来る。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「年収の壁」を超えてみたい

「年収の壁」を超えてみたい

ここへ来てにわかに「103万円の壁」が話題になっている。

所得税が発生する年収、さらに社会保険料がかかる年収、そして主婦(主夫)の場合は、配偶者の扶養から外れる年収など、収入にはさまざまな段階で、税金や社会保険などがかかってくる。103万円のみが「」というわけではない。

人生は計画通りにはいかない。特に結婚後は。

パートナーを得て、人生は豊かになるが、半面、思うようにならないことも増えていく。子どもができればなおのこと。それでも自分の意志を貫きたいと思う女性はいる。

結婚後も共働きがマストのはずだった

「私の人生、予想外のことばかりです」

そう言って笑うのはミエさん(45歳)だ。結婚するより仕事をしていたい。そう思っていたのに28歳の時に、5歳年上の男性と結婚した。

「大恋愛しちゃったから。結婚しなくてもよかったけど、彼はきちんと結婚したいと。そこは譲るしかありませんでした。彼と一緒にいたい。その思いが強くて」

結婚後も共働きを続けたが、子どもが産まれて状況が変わった。双子の女の子だったのだ。しかも二人とも小さく産まれ、長女は1歳になる前に手術が必要だった。

「さすがに私も、小さな命の前には自分の意志を曲げざるを得なくて退職しました。それからは完全ワンオペでしたね。保育園にも預けられなかったから、二人抱えて病院に行ったり、長女の入院に付き添う時は、どうにもならなくてベビーシッターさんを頼んだこともあります。貯金を取り崩した時期もありました」

「金がかかるな」と夫がつぶやいた

それというのも、長女に先天性の病気があって手術をしなければならないと判明した時、夫がふっとため息をついて「金がかかるな」とつぶやいたことが、ミエさんには引っかかっていたのだ。

「娘にお金をかけたくないんだろうと思いました。夫への気持ちはそこでサーッと引いてしまったんですが、とはいえ会社を辞めてしまった私に双子の娘を育てていくことはできない。

会社を辞めなければよかった、両親にわがままを言ってもよかったとも思いましたが、実は私は生みの親がいないんです。養親には恩がありますから、わがままを言える状態ではなかった……」

そんな事情もあって、倹約しながらなんとかお金をひねり出していた。幸い、3回の手術を経て長女は回復、小学校に上がるころには誰よりも元気になっていた。

さて仕事に復帰だと思ったが、7年のブランクは大きい。社会人としてやっていけるだろうかとミエさんは悩んだ。

専業主婦でもけなされ、仕事してもけなさて
 
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