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実は逮捕例、1000万円の損害賠償例もある…ゲーム内容を改ざんする「チート行為」の意外な落とし穴

オンラインゲームやスマホゲームなどのチート行為における実際の逮捕事例や逮捕されやすいチート行為の基準、逮捕された場合の処罰内容などについて、ゲーム分野の知的財産権や法務を専門とする弁理士が解説します。

藤枝 秀幸

執筆者:藤枝 秀幸

弁理士ガイド

ゲームを改ざんする「チート行為」の法的な問題性とは

ゲームを改ざんする「チート行為」の法的な問題性とは

「“チート行為”なんてみんなやっているから悪くないでしょう」

そんなふうに思っている人もいるかもしれませんが、実はオンラインゲームなどでチート行為をしたことで逮捕されるという事例はいくつもあります。

先日話題になった「若年化する『チート』、犯罪意識薄く『こんなことで事件に』憤る親も」(時事ドットコム)という記事においても、18歳のときにオンラインゲームでチート行為をしたことで家裁送致(家庭裁判所送致)され、100万円を超える損害賠償金を支払ったという男性の事例等が掲載されています。

チート行為とは、オンラインゲームやスマホゲームなどのプログラムを不正に改造するなどして、キャラクターの能力値を変更したり、ゲームを有利に進めるためのアイテムを不正に入手したりする行為をいいます。
 

チート行為の逮捕事例

古くは、プレイステーション用ゲーム『ときめきメモリアル』の主人公の能力値変更や、プレイステーション2用ゲーム「DEAD OR ALIVE 2」のキャラクターのビジュアル改変といったチート行為が著作権法違反にあたるかどうかが裁判で争われたりもしましたが、オンラインゲームやスマホゲームにおいても、そうしたチート行為の逮捕・書類送検事例がいくつもあります。
チート行為による逮捕・書類送検事例

チート行為による逮捕・書類送検事例

オンラインゲームやスマホゲームの場合は、著作権法違反、私電磁記録不正作出・供用、電子計算機損壊等業務妨害・偽計業務妨害のいずれかで処罰される場合が多いですが、これまでの事例を見ても、そのどれに該当するかは次のように判断されると見受けられます。

・著作権法違反:能力値の変更やキャラクターのビジュアルを変更などする行為
・私電磁記録不正作出・供用:アイテムやキャラクターの不正入手及び販売
・電子計算機損壊等業務妨害・偽計業務妨害:上記のいずれにも該当しないチート行為やチートツールの販売、他ユーザーへの迷惑行為など

かつてプレイステーション用ソフト『ときめきメモリアル』の主人公の能力値変更が著作権法違反に該当すると2001年に最高裁(最判2001年2月13日)で判断されたことを踏まえてか、オンラインゲームなどにおいても、ゲーム内のキャラクターの能力値変更は著作権法違反で処罰するという傾向が見て取れます。

なお、この最高裁の判断を否定する日本の判例は現在もありませんので、オフラインゲームにおいてもキャラクターの能力値を変更などすると著作権法違反にあたる可能性が高いです。

また、チート行為で実際に逮捕・書類送検まで至る場合としては、不正に入手したレアアイテムやチートツールを販売するといった販売行為が絡むケースが多いですが、『荒野行動』などの一部の事例では、販売等がなくチート行為・チートツールの利用のみで逮捕・書類送検されている場合もあります。

他にも、『人狼ジャッジメント』の事例のように、チート行為の方法をWebに掲載するだけで逮捕・書類送検されるというケースもあるので、チートツールの利用や販売をしていなくても逮捕・書類送検されるという可能性もないとはいえないのです。

では、実際に逮捕・書類送検された場合にはどのような処罰がされ、またどういった点を重視して裁判等で処罰内容が判断されるのでしょうか。

>次ページ:チート行為で逮捕された場合の処罰内容は
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