人間関係

“見せ筋”にハマった筋肉オタク夫の「なかなかにうっとうしい」日常に妻のぼやきが止まらない(2ページ目)

夫は今、流行の筋トレに夢中だ。家族との時間も惜しんで筋トレをし、今や子どもたちよりも、筋肉を愛しているようにも見える。しかし、結局のところは、その筋肉は誰かに見せて「すごい」と言われたいだけのものなのだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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誰をも魅了する筋肉が欲しい夫

「うちの夫は基本的に、誰かに見せて『すごい』と言われたいがためにやっているんですよね。だから純粋に筋肉を愛しているオタクの人たちには申し訳ない感じ」

一般的に「使える筋肉、使えない筋肉」という言葉がある。アスリートの筋肉は使えて、ボディビルダーの筋肉は使えない。見せるための筋肉だから「見せ筋(みせきん)」とも言うらしい。

「夫はボディビルダーになりたいわけじゃないんですって。フィジークといってボディビルダーより筋肉量は少ないけど、トータルで見てバランスのいいかっこいい体を目指しているらしい。大会があるから出たいそうです。なんだか最近、夫の会話はほぼ筋肉ばかり。もう少し子どもたちの話を聞くとか、子どもたちと一緒にできることを探してほしいんですけどね」

家の中でもせっせとトレーニングを重ねており、子どもが話しかけても自分の筋肉に見とれて上の空になることがある。

「筋肉を鍛えても心は変わらないんだね」

「筋肉を鍛えている人が、自分の体に陶酔しているのって私はかっこいいとは思わないと夫に言ったことがあるんですよ。そうしたら『でもさ、かっこいいと思ってくれる女の子もいるんだよ』とヘラヘラ。筋肉を鍛えてもヘラヘラした心は変わらないんだねと、さらに嫌みを言ってやりましたがピンときてないみたい」

鍛えることができなくなると困ると、今年の夏は家族旅行もジムのあるホテルに限られた。しかもいつもなら1週間ほどかけて旅行するのに、今年は近場で2泊。子どもたちからは大ブーイングだった。

「このままだと子どもたちの気持ちがあなたから離れていく。それでもいいのと先日、夫に言ってみたんです。さすがにその言葉は堪えたようで、夫も珍しく考え込んでいました。今後は少し、時間の使い方を考えてみると言っていたので、多少は変わるかもしれませんね」

家族みんなが興味をもてることならいいが、夫だけがよその世界に行ってしまったようで、パパ大好きな子どもたちはおそらく寂しい思いをしているはずだとマリさんは言う。マリさん自身も同じように寂しいのだろう。こういう妻の言い分に、夫は耳を傾けた方がいい。妻の言うことはおそらく間違ってはいないはずだから。
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