結婚しても「子どもはいらない」と思っていたが……
「私は結婚する気はなかったけど、35歳の時に気の合う仲間から恋愛に発展した男性ができて、私なんかでいいのかなと思いながら結婚しました。彼が子どもがほしいと言った時、『私のようなコンプレックスを持たせなくないから、子どもはいらない』と伝えたんです。でも彼は『きみは、“いい顔”をした女性だと思う』と言ってくれて。長年の胸のつかえが下りたような気持ちでした。ああ、生きててよかったと思った」2人の間に産まれた一人息子は、今年、小学校に入学した。世間から見て「不細工」かどうかは分からない。私にとっては誰よりかわいいし、真っすぐ育ってくれればそれでいいとルリコさんは言う。
「結局、姉はキレイだったがゆえにちやほやされ過ぎて、自分の意志をはっきり持てなかったのかもしれません。自分の美に翻弄されたのかもしれない。私は私で、今だってコンプレックスに苦しむことがありますよ。いくら夫が気にしなくても、自分は気になるから。
ルッキズムはよくないと言ったところでどうにもならないものがある。本当なら、私はもっとかわいく生まれたかった。そうしたら違う人生があったと思う。ただ、それを考えてもどうにもならないなと思うことが、大人になることなのかもしれないと今は感じていますね」
ルッキズムはよくないが、どうにもならない
美に関しては、自分なりにメイクに凝ってみたり、髪を艶やかに保つ努力をしたり、ファッションセンスを磨こうとがんばったりしてきた。そうやってコンプレックスと闘ってきた挙げ句、「私は私」に行き着いたのだという。「若いころは悩んで当然だけど、悩んだ先に何を見つけるかが重要なのかもしれません。悩まずにすむ人はそれでいい。人生というのは理不尽なものだって、早く気づいて対処できた人が、早く自分の生き方を見つけられるのかもしれませんね」
人がどう思うかではなく、自分がどう思うか、どうしたいのか。息子には、そういう価値観をもってほしいと彼女は真顔で言った。
<参考>
・「カワイイに正解なんてない」(ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング)
・「お子さまの体毛事情に関する調査」(鈴木ハーブ研究所)