高時給と引き換えに、勤務先から指示されたこととは……
時給900円台、マッサージ店でパート勤務をはじめたら
「うちは夫がフリーランスなんです。だから私は出産後も会社勤めを続けていくつもりでした。でも下の子に発達障害があって目が離せない。そこでいったん会社を辞めました」それが7年前のことだと、アリサさん(44歳)は振り返る。現在、長女が12歳、次女は9歳になる。次女は小さいころから発達支援教室に通い、現在は特性を生かしながら支援学級で学んでいる。夫の収入は月によって波があるので、次女が落ち着いた3年前から少しずつパートで仕事を始めてみた。
「時間的な自由が利かないと厳しいんですが、たまたま自宅から自転車で15分くらいのところにあるマッサージ店で未経験歓迎の貼り紙を見かけて応募してみたら通りまして。資格もありませんから、本格的なマッサージではなく“リラクゼーションとしてのマッサージ”とのことでした」
そのころの時給は900円台。商店街や小規模の事務所が立ち並ぶ場所だっただけに、来店者は多かった。
「チェーン店ではなくオーナー個人が経営してる和気藹々(あいあい)としたいい店だった。でもやはり経営がつらくなったんでしょうね。ある日突然、経営者が変わってしまった。
そして『明日から男性に特化したマッサージ店になるので、そのまま仕事を続けてほしい』と言われたんです」
時給2000円で「セクシーなサービス」を指示される
もちろん風俗的なマッサージではないが、客は男性のみ。今までより「少しだけセクシーなサービスをしてほしい」と言われた。「このマッサージ店で働き始めた当初、毎日毎日、ツボと経路の勉強をさせられたんですよ。それを基にしたリラクゼーションであるとたたき込まれた。それが今度は、お客さんが喜ぶようなマッサージをしてほしいと言うんです。サービスの内容は任せます、その代わり時給は倍にします、とも」
いきなり時給が2000円になった。ちょうど娘たちが習い事を始めたし、先のことを考えるとお金はいくらあっても足りない状態。断る理由などなかった。
「今までと同じマッサージを望む客にはそうしていましたが、それ以上を期待する人にはそれなりに……という感じでした。もちろん直接、男性器に触れるということはありませんでしたし」
店に満足だったと利用客の声が寄せられると、臨時金が出たり時給が上がったりする。それなりにやりがいがあったとアリサさんは苦笑する。
>マッサージをきっかけとして、その後も