セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンへの取材をもとに、2024年上半期のコンビニスイーツを振り返ります。また、この秋トレンドになりそうなスイーツについても紹介します。
【セブン‐イレブン】8月発売の「ホイップだけどら」がヒット!
セブン‐イレブンでは、8月に発売した「ホイップだけどら」(税込192.24円)が大好評。どら焼きの皮にたっぷりのホイップクリームをはさんだ新しいサンドタイプのスイーツで、同月のスイーツカテゴリーの中でトップの売れ行きだったそう。
開発の背景について、商品開発担当の方にお伺いすると、「ホイップクリームの注目度が継続して高まっています。その中で、和素材と掛け合わせたスイーツもニーズがあるのではと考えました」とのこと。
ヒットの要因の一つが、たっぷり食べたくなるホイップクリームのおいしさ。
「乳脂肪分を含むクリームは大量に食べると重たくなりがちですが、たっぷり食べても飽きない味わいにするべく、洋酒(チェリー酒)を追加。ミルクの風味と後味のキレを向上し、食べ進みのよいクリームに仕立てました」(商品開発担当)。
あんこが入った「北海道十勝産小豆使用 粒あん&ホイップどら焼」(税込194.40円)と比較すると、2.5倍以上のクリームがサンドされているそうです。実際、ふんわり、しっとりした生地の軽さもあいまって、どんどん食べたくなる味わいでした。
【ファミリーマート】人気のプリンが進化! 4種類の「プリンスイーツ」
ファミリーマートで春夏シーズンに人気だったのは、3月に発売したプリンの進化系スイーツ。
「プリンサンド」(税込268円)、「プリンタルト」(税込298円)を新たに発売したほか、定番人気の「窯出しとろけるプリン」(税込190円)、「スフレ・プリン」(税込320円)をリニューアルし、全4種類をラインアップ。
13日間で累計400万食突破し、3月のチルドスイーツ全体の売上も10%増と大変好調な売れ行きだったそうです。
「ファミリーマートでは、以前から定番人気の『スフレ・プリン』をはじめとしたプリン系のスイーツが、売上の上位にランクインすることが多くありました。お客さまからもご支持いただいていることから、弊社のスイーツの強みの一つであると捉えてもいいのではと考えました」(ファミリーマート/FF・スイーツ部 杉本さん)。
開発にあたっては、専門店を中心に90種類近くのプリンを調査して、「おいしいプリンとは、何がおいしいのか?」を徹底追求。その中で今回は「カラメル」に着目し、少し苦味があって後味はすっきりするような、オリジナルのカラメルソースを完成させました。
「窯出しとろけるプリン」のカラメルソースを増量したほか、それぞれのプリンスイーツにも活用することで、味の特徴を出しています。
・「クリームを味わうスイーツ」も好評!
また、「クリームを味わうスイーツ」として発売した3商品も好評でした。
「プリン同様、クリームに関しても試作を重ね、2種類の生クリームとホイップクリームを独自の配合でブレンド。砂糖の量も控えることで、濃厚ながらも後味はすっきりとした『こいうまクリーム』を開発しました。このクリームは他のスイーツにも使用しております」(杉本さん)。
【ローソン】「ふわ濃」と「むぎゅ濃」。タイプの異なるチーズケーキが話題に
「嗜好品である『デザート』に対して、失敗したくないという消費者の心理がより大きくなってきていると感じています。トレンドを追ったスイーツというよりも、味の想像がつきやすいスイーツを目指し、スイーツの基礎となる素材(チョコ、チーズ、カスタード、生クリームなど)を訴求した商品が好調でした」と語るのは、ローソン デイリー・FF部の鈴江さん。
なかでも、3月に発売した「ふわ濃チーズケーキ」(税込254円)と「むぎゅ濃チーズケーキ」(税込203円)は、食感を商品名に冠したわかりやすさも消費者に受け、他のフレーバーも展開するほどの人気商品となりました。
続く4月は、カスタードを訴求したスイーツ、6月は定番スイーツを大幅増量した「盛りすぎチャレンジ」を投入し、いずれも売上を順調に伸ばしました。
7~8月は、猛暑の影響でアイスクリームの売上が伸長するとともに、季節感の訴求として、桃やシャインマスカットなど季節のフルーツを使った商品を発売。
「ごろっとした1/2個分桃のタルト」(税込319円)では、「ハーフカットの桃をトッピングし、ピンクの粉糖とジュレでシズル感を出すことで、桃のみずみずしさと食感、形のかわいらしさを表現し、見た目のインパクトを出しました」と鈴江さん。
高単価の商品にもかかわらず、売れ行きは好調だったといいます。
【セブン‐イレブン】ニーズが拡大する「ワンハンドスイーツ」を強化
ここからは、この秋に各社から発売されている注目のコンビニスイーツを紹介します!セブン‐イレブンでは、継続して注力している「お客さまになじみのある商品の味・品質の見直し&磨き込み」をさらに進化。
一方で、消費者に「スイーツといえばセブン‐イレブン」と感じてもらえるような、新しい定番商品として拡大している「ワンハンドのスイーツ」も、繰り返し購入してもらえるよう強化していく方針だといいます。
その一例が、「かじるチーズケーキ」(税込248.40円)と「かじるガトーショコラ」(税込259.20円)です。
【セブン‐イレブン】売場を縦断した「秋の味覚祭」もスタート!
また、売場で季節を感じ、楽しくワクワクしてもらえるような企画として、10月1日から「秋の味覚祭」がスタート。
かぼちゃやさつまいも、栗などを使った秋らしい商品が展開されており、チルドスイーツでは「イタリア栗のマロンもこ」(税込205.20円)や、「どら焼き お芋とバタークリーム」(税込213.84円)などが登場します。
また「まっしろスイーツ」や「まっくろシリーズ」など、トレンドに合わせたテーマでの商品展開も。視覚的なインパクトで、買い物の楽しさを感じられ何度でも通いたくなるようなスイーツの品ぞろえを進めるそう。「まっくろシリーズ」は、10月14日週より順次発売予定です。
【ファミリーマート】買い求めやすい「100円台のスイーツ」を展開
ファミリーマートでは、昨今の物価高騰による消費者の価格感度の変化を受けて、お財布にやさしい100円台のスイーツラインアップを継続予定。
第一弾として、「むにほっぺ(みるく)」(税込138円)が発売されています。お弁当などを購入するとき、プラス一品として気軽に購入できる商品群として、継続販売していく見込みだそう。
またファミリーマートといえば、売場を横断して商品展開するフェアも特徴の一つ。2024年は、ねこの日に合わせて開催された「ファミリ~にゃ~ト大作戦!」や、9月の「ファミマのお芋掘り」などが好評で、フェアは今後も予定されているそう。どんなテーマで開催されるのか、楽しみです!
【ローソン】トレンドの「栗」スイーツを、さまざまなスタイルで!
ローソンからは、季節素材として「栗スイーツ」が展開されています。
栗に「国産素材」「ふわっととろける食感」という付加価値を加えた「ほろふわ栗粉の栗堪能モンブラン」(税込313円)や「ほろふわ栗粉の栗堪能オムレット」(税込265円)が、9月17日より発売中です。
また、イタリア栗を使った「イタリア栗の濃厚モンブラン」(税込367円)や「マロンタルト(イタリア栗)」(税込257円)、「マロン大福仕立てのもち食感ロール(イタリア栗)」(税込397円)も、9月24日から発売されています。
「定番の洋菓子に新たな素材や技術、食感などでアップデートした『ネオ定番スイーツ』が、市場のトレンドとして注目を浴びているため、今後も挑戦していきたいと考えています。お客さまからの人気が高いGODIVAなどの監修メニューでは、定番素材に付加価値を加えた新商品を、11月以降に販売する予定です」と鈴江さん。
2024年上半期に売れ筋だったコンビニスイーツはバラエティー豊かで、いずれも各社の方針や個性がよく出ていたように思います。この秋の注目スイーツも、引き続き楽しみです!
※記事内には販売終了している商品も記載しています。