今回は、初めて家を買う人でも分かりやすいように、「財形住宅融資」とは何か、そして一般的な「住宅ローン」とどんな違いがあるのかを解説します。
財形住宅融資って何?
財形住宅融資とは、住宅金融支援機構が提供する住宅ローンの一種で、「財形貯蓄」に加入している方のみが申し込みができる制度です。財形貯蓄とは、主に会社員や公務員が利用できる貯蓄制度のことです。財形貯蓄を導入している勤務先が金融機関と提携して、従業員の給与やボーナスから自動的に一定額を天引きしてお金を貯めるしくみです。財形住宅融資は、一般的な住宅ローンに比べ金利が低いことや、借入金額に対して一定の料率でかかる保証料や手数料がかからないなどがメリットです。
【財形貯蓄について詳しくお知りになりたい方は以下の記事をどうぞ】
・先取り貯蓄に挫折した人にオススメ!財形貯蓄ってどんな特徴があるの?
一般的な住宅ローンとの違い
一般的な住宅ローンと財形住宅融資の違いについて、以下のポイントごとに比べてみましょう。●利用対象者が違う
一般的な住宅ローンは、基本的に誰でも申し込めます。その後、年齢や収入の条件がクリアできれば、融資を受けることができます。一方、財形住宅融資は「財形貯蓄」に加入して、一定要件を満たしている人だけしか利用できません。
●金利が違う
一般的な住宅ローンの金利は、ローンを借りる時期、借りる金額、金融機関ごとに異なります。住宅ローンの金利は、固定タイプ、変動タイプがあります。
一方、財形住宅融資の金利は、比較的低く安定しています。特に借入期間が長期にわたる場合、財形住宅融資の方が一般的な住宅ローンの金利よりもお得になることが多いです。
ちなみに、現金利は「フラット35」が1.43~1.82%ほど(固定)ですが、財形住宅融資は1.71%(5年のみ固定)です。なお、財形住宅融資の金利は、当初の5年間が固定されますが、6年目以降は5年ごとに見直しが行われます(2024年9月執筆時点)。
●借りられる金額が違う
一般的な住宅ローンの融資額はその人の収入や返済能力によって決まります。自分の希望もありますが、借入希望者の状況を金融機関が審査して借入額が決まります。
一方、財形住宅融資は、財形貯蓄の3種類の「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の合計残高の10倍までの融資を受けられます。ただし、上限は最大で4000万円までと決まっています。なお、住宅取得価額の90%までしか借りられないという条件があります。
●手続きが違う
一般的な住宅ローンは、金利の相談や返済のシミュレーション申し込みなど、金融機関の窓口やインターネットを通じて行います。
一方、財形住宅融資は、政府系金融機関である住宅金融支援機構を通じて申し込みを行います。手続きには、必要な書類が多くあるため、事前にしっかり準備しましょう。
●どちらを選べば良いの?
財形住宅融資は、低い金利でお金を借りられるメリットがありますが、利用するには財形貯蓄を続けていることが前提として必要です。そのため、すでに財形貯蓄をしている人や、これから財形貯蓄を始める予定のある人には、有利な選択になるでしょう。
一方で、財形貯蓄をしていない場合は、一般の住宅ローンでの申し込みになります。一般の住宅ローンは、金利や借りる金額、返済方法がさまざまあるため、自分に合ったプランを選びましょう。