人間関係

「結果、かっこ悪い」だけなのに。ズレた“戦闘モード”で職場に敵を増やし続ける女性たちの話(2ページ目)

仕事をする上で、これまで性差別はあっただろう。だからといって、「戦闘」「攻撃」の姿勢でいては周囲は疲れ、職場の空気も悪くなる。けれども、攻撃的なスタンスで働く女性の話を耳にする。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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毎日のように上司にクレームをつける先輩

「うちの部署の先輩女性は、どうやら部長が嫌いみたいなんです。何か確執があったのかどうかわからないけど、『あいつはセクハラ男だからね、気をつけて』とみんなに言ってた。でも私はあまりそうは感じないし、むしろいい人だと思うんですよね」

ヒカリさん(32歳)は、10歳年上の先輩についてそう言った。先輩はその部長を目の敵にしていて、毎日、何か言ってへこませてやりたいと思っているらしい。

「部長の方は言い返すわけでもなく、知らん顔しているから、周りはみんな先輩がヘンな女だと思うようになっています。それでも『ああいう女の敵とは闘わなくちゃいけないのよ』と言うんです。なぜ女の敵なのかと聞いても、詳細は教えてくれない。どうやら先輩の昇進を阻んだ張本人だといううわさもありますが、単純に生理的に嫌いなだけかもしれません」

昇進を阻んだのが事実だったとしても、そこには複雑な理由があったのかもしれない。それはヒカリさんには分からない。

「結果、かっこ悪いんです」

それでも、会社にいる目的は仕事をすることだ。本人と周りを嫌な気分にさせるため、先輩自身が悪影響を及ぼす原因だと言われるかもしれない。現にそう見ている人もでてきている。

「だから心配しているんですけど、彼女は、闘うことは正義を貫くことだと思い込んでいるから、あなたたちは私たちが作ってきた道を歩いていけばいいだけだから楽よねとまで言って、若い女性社員の反感を買ってます」

確かに女性が社会で働くことには、さまざまな難関があっただろう。それは今も残っている。だが、自分たちが道を切り開いてきたと自分で言って周りが納得するとは思えない。もしもそうだったとしても、自分で言った時点で終わりである。

「結果、かっこ悪いんですよ。朝から『部長、今日のネクタイ、センス悪いです』『顔、むくんでますよ。飲み過ぎじゃないですか』と不快感をまき散らす先輩が。ジョークですむほど仲がいいなら別ですけど、そうじゃないから朝は誰も言葉を発しない。そういうのは『闘い』じゃないと思うんですが、先輩には分かってもらえない……」

ヒカリさんは毎日ひそかに心を痛めているというが、なす術(すべ)もない。
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