人間関係

「結果、かっこ悪い」だけなのに。ズレた“戦闘モード”で職場に敵を増やし続ける女性たちの話

仕事をする上で、これまで性差別はあっただろう。だからといって、「戦闘」「攻撃」の姿勢でいては周囲は疲れ、職場の空気も悪くなる。けれども、攻撃的なスタンスで働く女性の話を耳にする。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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仕事は、戦いではないのだから

仕事は、戦いではないのだから

生きていれば、公私ともに嫌でも闘わなければならないことがある。それだけに、極力、揉めずにお互い気持ちよく生きていきたいと思う人も多いだろう。仕事においては、今や「Win-Win」が当然で、それもできれば気持ちよく進めていきたいものなのだ。 

最初にマウントとらないとダメ!

ところが「最初からかましてなんぼだから、こっちの優位性を認めさせてから仕事に入った方がいい」と心の中で思っている人もいる。性的差別をするつもりはないが、女性に多いようだ。

「今まで女性は闘う場すら与えられなかったのだから、仕事を任されたなら、自分がてっぺんで仕切るつもりで闘わなければダメ。そう言い張る同僚がいるんですよ」

苦笑しながらそういうのはワカコさん(48歳)だ。彼女はずっと共働きをしてきて、今は18歳と15歳の子がいる。

新しい部署に移ったのは2年前。たまたま同期のユミさんがいたので、仕事がしやすくなると思ったのだが、実際には逆だった。

「彼女も私もチームリーダーで、それぞれ3人くらいの後輩を抱えて仕事をしているんですが、彼女のチームの30代の子が泣きついてきたんです。もっと闘えとユミさんに言われて、もう疲れたと」

「脅して弱らせて従わせる」なんて嫌

新しい取引先との打ち合わせで、ユミさんはひたすら相手にダメ出しをした。打ち合わせが終わって会社に戻ると、ユミさんは後輩に「まあ、ああいうふうにしておけば、相手は弱くなるから」と言ったそうだ。

「脅して弱らせて、こちらのやり方に従わせようとしたんでしょう。後輩には、それが耐えがたいほど嫌だった、と。後輩は相手との信頼関係を築いて、穏やかに話し合って決めていきたかった。それなのにユミがいきなり一発かましたものだから、なんとなく相手の仕事へのノリが悪くなったのだそう。そりゃそうですよね。でもユミは、そういうやり方が正しいと思ってる」

ちゃんと話し合いましょうと言った後輩に、「あんたはいつもそうやって相手の顔色をうかがうのね。それじゃいい仕事はできない」と言い放ったそう。

いや、相手を嫌な気持ちにさせたらいい仕事はできないとワカコさんは説得したが、ユミさんの気持ちを翻すことはできなかった。挙げ句の果てに「あなたは闘うことを忘れちゃったのね。情けない」とつぶやいたそう。

「私からみれば、今でもカリカリ怒って、それをエネルギーにしているユミのほうがずっと寂しいと思いますけどね」

声に、そこはかとなく諦めがにじんでいた。

>職場の空気を悪くする先輩女性
 
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