家族に見せると手伝ってくれるようになる!
「家の掃除をしている姿を家族に見せることも、とても意味があります」。新津さんのお宅では、「毎朝見ている夫が手伝ってくれるようになった」のだとか! 高くて手の届きにくい場所を拭いてくれるそうで、「やってくれたら、ありがとうって言います。そうやって夫は育てていかないと!」と、家事シェアの極意を教えてくださいました。これは子育てでもいえること。口で言う前にやり方を見せておくことは大事ですね。
なお拭き掃除をする新津さんの動きはきっと、最高に無駄なく美しく、しかも楽しそうで、まねしたくなるご家族の気持ちが分かる気がします!
新津春子さんの現在のご活躍
清掃という仕事の社会的地位を上げたい気持ちから、頑張っているという新津さん。「私が就職したころは、女性は男性の三歩後ろを歩き、決して前に出てはいけないと言われ『なんで?』と思ったし、そう言いました。そういうふうに扱われる毎日だったけれど、今はそんなこともなくなりました」。
羽田空港第一ターミナル内(B1F南ウイング)にはなんと、新津さんの展示コーナーが設けられています
羽田空港で開催された体験イベントで、新津さんとハイアールが共同開発した「吸引式床拭き掃除機MIZUKI」を説明する新津さん。ハンドル部分を持ち運びの楽なデザインにし、ヘッドの水量は、石や畳などのほか、日本のフローリング事情に合う特別なしくみを導入するなど独自の視点を盛り込んだ。中国の工場まで行って全製造ラインを細部までチェックしたそう
世の中には、家の掃除がどうやってもできるようにならない人、年を重ねてできなくなっている人もいます。
「そんな人は無理せず頼っていい。無理に頑張りすぎるよりは、その分できることをやっていけばよいのでは」。
出会う全ての人への、あふれんばかりの温かい思いやりを感じずにはいられない、すてきな新津さんの今後が、ますます気になります。
新津さん、どうもありがとうございました。
新津春子さん プロフィール
1970年中国残留日本人孤児2世として、中国・瀋陽に生まれる。中国残留日本人孤児であった父と一家で渡日。言葉が分からなくてもできるという理由で清掃の仕事を始めて以来、37年以上清掃の仕事を続ける。1995年、日本空港技術サービス(現:日本空港テクノ)に入社。1997年に(当時)最年少で全国ビルクリーニング技能競技会1位に輝く。以降、指導者としても活躍。現在は羽田空港の清掃の実技指導者に加え、同社ただ1人の「環境マイスター」として、羽田空港全体の環境整備に貢献している。『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)に4回取り上げられた。