夫の社内での立場が変わり「給料が減った」
年上の夫は給料が減ってきた。15年のブランクを経て、自分は何ができるのか
「そうやって50歳を越えると淘汰されていくんですよね。夫はそれが決まってから顔色が冴えないし元気がない。でもうちはこれから子どもたちにお金がかかるんだから、がんばってよね、副業したらどうなの、と思わず言ってしまいました。夫は『人の気も知らないで冷たいことを言うね』と不機嫌になって。ああ、こんなことなら同世代と結婚すればよかった、仕事を続ければよかったと後悔しきりでした」
こうしてはいられないとルリさんは仕事を探したが、15年もブランクがあるため自分に何ができるのかさえわからない。
「家事しかやってこなかったわけですからね。それならそれを生かすしかない。家事代行サービスの会社に登録して、家事を仕事にしました。今は夫の扶養範囲内で仕事をしていますが、いずれは税金を払ってもいいくらいに稼ぎたい」
子どもたちが奨学金で苦しむのは避けたい
人の家の家事や料理を代行することで、自宅の家事や料理は手を抜くようになった。夫は機嫌がよくないが、そもそもあなたの収入が減ったからとルリさんは心の中で思っている。「夫婦関係がギクシャクしていて、家庭としてはよろしくない方向にいっています。でも子どもたちは大学まで行くつもりでいるようだから、なんとか出してやりたい。奨学金で苦しむのもかわいそうですしね。大手企業で定年まで安泰という人や、起業して成功している人など一部の富裕層はお金の心配なんかしないで暮らしているんだろうなと思うと、私たちの人生、何がいけなかったのかと考えてしまいます」
こういう状況の人たちは少なくないのではないだろうか。いくら頑張っても、なかなか収入が増えていかない現状で、疲れ果ててしまう人たちも続出している。
「頑張ればどうにかなった親世代が羨ましい。最近、つくづくそう感じます」
ルリさんの苦悩は、一般市民の苦悩でもある。
<参考>
・「共働き世帯1200万超、専業主婦の3倍に 制度追いつかず」(日本経済新聞)
・「2023年度 第4回雇用政策研究会 関係資料集」(厚生労働省)