Q. 大麻草が自生しているのを見つけたら、どうすればいいですか?
散歩中に見かけた植物が「大麻草」に似ている気がする……どうするのが正解?
Q. 「大麻草は草むらなどで自生していることがあると聞きました。もし大麻草らしきものを見つけてしまった場合、どうすればいいですか? 」
A. 一切触れずに、すぐに保健所に連絡してください
もし大麻草らしき植物を見つけた場合、一切触れてはいけません。すぐに保健所に連絡してください。事件性や計画性を警察が調査することもありますので、「本当に大麻かわからないから、誰かに見てもらおう」と、勝手に抜いたりしてもいけません。多くの方がご存知のように、現在の日本では、大麻の使用が法律によって規制されています。薬物としての「大麻」は、植物である「大麻草」の葉や花穂から製造されますので、大麻草を栽培することは、薬物の製造に相当する行為であり、とくに厳しく規制されています。規模などにもよりますが、違反者には「無期懲役」が科せられることもあります。なお、2024年12月12日に、「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」が施行され、薬物としての大麻は「麻薬及び向精神薬取締法」における「麻薬」として禁止規定及び罰則(施用罪)が適用されることになり、従来の「大麻取締法」は「大麻草の栽培の規制に関する法律」に変更されましたが、「大麻草の栽培」に関しては変わらず厳しく規制されています。
しかし、大麻草は紀元前から日本中で自生もしくは栽培され、様々な形で有効利用されてきました。麻繊維は強靭なので、袋やロープにも使われ、吸湿・放熱性にも優れているので夏服にはぴったりです。種子は、油をとったり、そのまま食べることができます。
規制が厳しくなってからは、見つかると取り除かれるので、都市部で大麻草を見ることはほとんどなくなりましたが、もともと強い植物なので、農薬や化学肥料などを使わなくてもどんどん育つ性質があり、いまでも山林に自生していることも珍しくありません。したがって、意図的に栽培しなくても、みなさんの近所に大麻草が生えている可能性はないとは言えません。
自宅の庭や近所の草むらなどで、万が一大麻草らしきものを見つけたときは、最寄りの保健所にすぐ連絡しましょう。計画性や事件性がないか警察が調べることもあるので、勝手に抜いたりしてはいけません。本物かどうか図鑑やインターネットで調べようとして、手に取るだけでも、所持したことになりますし、栽培の疑いがかかることもありますので、絶対にさわらないでください。そのままの状態で連絡するのがベストです。
なお、大麻草の他にも、「麻」とつく植物として、アマ(亜麻)、チョマ(苧麻)、黄麻(こうま)、マニラアサ(マニラ麻)、サイザルアサ(サイザル麻)がありますが、これらは葉の形などが大麻草とは全く違いますので、間違えることはないでしょう。大麻草と間違えられやすく注意したいのは、ケナフ(別名:洋麻)という植物です。植物分類上はアオイ科フヨウ属で、アサ科ではないのですが、下の図のように、葉が大麻草に似た手のひらのような形をしているので、紛らわしいです。
しかし、区別するポイントさえ知っていれば大丈夫です。大麻草の小葉が細長く、基部まで深く切れ込んでいるのに対して、ケナフの葉の切れ込みはそれほど深くありません。もし花が咲いていれば一目瞭然。ケナフは、オクラや芙蓉、ハイビスカスに似た、黄色または薄い黄色の大きな花を咲かせます。花びらをもたず穂のような大麻草の花とは全く違います。
■参考