貯蓄

ATM手数料は払うと損?払っていいのは、どんなとき?

お金と時間、どちらを重視すべきなのか。これはマネーの専門家である筆者でもよく悩みます。そこで本記事では、時間やお金の節約について、良いバランス感覚を持つにはどんな判断基準を持つと良さそうか考えてみます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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時間よりもATM手数料を節約したほうがお得?

時間よりもATM手数料を節約したほうがお得?

先日、読者の方よりこんな質問をいただきました。

「お金持ちになるために銀行のATM手数料は支払わないほうがいいの? 時間を節約したくてコンビニとかで引き出してしまいます」(40代)

お金と時間、どちらを重視すべきなのか。これはマネーの専門家である筆者でもよく悩みます。そこで本記事では、時間の節約やお金の節約について、良いバランス感覚を持つにはどんな判断基準を持つと良さそうか考えてみます。

ATM手数料は払うと損?

さて、質問者様からいただいたATM手数料についてですが、筆者も同じように「時間を節約するためにコンビニで引き出そう」と考えがちです。飲み物を買う程度の支出で10分~15分を節約できるのであれば、そっちのほうがよっぽど効率が良いと思うからです。

一方、かつて筆者が高校生だった10代や、大学生だった20代の頃は「万年金欠」で、時間を節約するという選択肢がそもそもありませんでした。銀行口座に入っているお金は数千円~数万円ということも多く、面倒でも銀行まで歩いたり、手数料無料の時間まで待ったりして、手数料を節約すると決めたと思います。

つまり、お金を重視すべきか時間を重視すべきか、は「ケースバイケース」ということです。

筆者としては、
(1)いま足りないと思うほうを優先して守る
(2)失うものと得られるものを天秤にかける


という2点をおさえていれば、感情的にも経済的にも良い判断ができると考えています。

お金を優先すべきタイミング

この判断基準に従うとしたら、お金を優先すべきタイミングは以下のようなときです。

(1)時間よりも、お金が足りないとき
(2)お金を節約するために大して時間を失わない、あるいは、失った時間もどうせ有効利用できないと判断できるとき


たとえば、そもそもお金を持っていない場合です。

この場合はお金がないので時間を節約しようがありません。先に触れた筆者の学生時代がそうでしたが、当時はお金はほとんど持っていませんでしたが、時間はあふれるほどありました。若いのもそうですし、社会人と比べると「時間の縛り」もゆるかったです(部活をサボりたいときはサボれましたからね)。

ほかにも、いまの年でも手数料を節約したいと考えられる状況があります。それは、「めちゃくちゃ疲れていて仕事をする気になれない」ときや「休みだけどどうせ予定もないし、なんなら時間が空くと退屈でかえって辛い」ときです。

これらの場合、どうせ時間を節約したところで、浮いた時間を生産的に使いません。銀行へ行くのが辛いのでもないかぎりは、「ウォーキングのついでに銀行に行けば手数料を節約できるし、暇つぶしもできるから一石二鳥だなあ」と考えることもあるでしょう。

時間を優先すべきタイミング

逆に、時間を優先すべきタイミングは、先の(1)(2)に当てはめると

(1)お金よりも、時間が足りない
(2)時間を節約するために大してお金を失わない、あるいは、失ったお金を有効利用できない

という場合です。

たとえば、筆者にはそこそこの資産があるのですが、ある程度お金が貯まってくると、手元の資金もダブついてくるものです。

筆者の場合は総資産の90%以上を株式投資にまわしていますが、残りの10%の資金だけでも数年は自由に過ごせるくらいゆとりがあります。この資金は、いわば「眠っているだけ」なので、節約したところで、有効利用するつもりもありません。

仮に有効利用したとしても、手数料と同じくらいの出費でできることは限られています。同じ金額でできることを考えるなら「自動販売機で飲み物を買う」とかでしょうが、それでQoL(生活の質、Quality of Life)が上がらないなら、別に手数料を払えば良いじゃないか、と感じてしまいます。

ほかにも、たとえお金がなくても時間の節約が有効であると考えられる状況があります。

たとえば、「〆切間近な課題があって、でもお金は下ろさなくちゃいけない。手数料なんか気にしている場合じゃない」ときです。

まとめ

こうして見ると、やはり判断材料として大きいのは

(1)どちらのほうが足りないかを考えること
(2)失うもの=リスクと、手に入るもの=リワード、という2つを天秤にかけること

という2つだと思います。

一概に「手数料を払うなんて損だ!」と決めつけてしまうのも柔軟性に欠けます。自分の置かれた状況を冷静に考えてみて、経済的にも、感情的にも、「お得だな」と思うほうに決めたら良いんじゃないでしょうか。
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