任せたのなら口をはさまないでほしい
ある日曜日、妻が体調を崩した父親のために実家に行って様子を見てくることになったので、トシヤさん(39歳)は、7歳と4歳の子どもたちの面倒をみることを快諾した。「ところが妻は1時間おきに電話をかけてくる。『洗濯やった?』『掃除は?』『トイレ用洗剤は1度にたくさん使わないで』と細かいことまで指示してくるんです。もういいよ、家事も適当にやっておくからと言うと『適当じゃ困るのよ』って。
たった1日のことですよ。そんなに任せられないわけ、とさすがに僕も苛立ちました。すると『だってあなた、いつだってきちんとできたことがないじゃない』と鼻で笑う雰囲気が伝わってきたんです」
オレをバカにして楽しい? トシヤさんは思わずそう言った。すると妻は「冗談よ。まったくもう、すぐ本気にして怒るんだから。付き合いづらい」と電話を切った。これ、バカにしてますよねとトシヤさんが同意を求めてくる。言い方にもよるが、確かに楽しい会話ではないと言うしかない。
夫だって妻からモラハラされている!
「男が妻にそういう言い方をしたら、女性は絶対モラハラだと言いますよね。でも夫だって妻からモラハラされているんだと思うんです」トシヤさんは力を込めた。もちろん、モラハラされているからといって何かが変わるわけじゃないけど、妻側はあまりにもそのことに気づいていないし、気づこうともしていない。自分だってパートナーを傷つけているということに。
「人に任せておきながら、細々と口を挟んで、僕のやり方を否定する。家事育児に関しては、完全に上から目線でものを言う。夫は劣っているものだと決めてかかっている。こういう状況を何とかしたいんですが、何か言えば『どうしてあなたはいつもそう偉そうなの』と言われてしまう。偉そうなのはどっちだよと心の中でツッコむんですが、本当に険悪な雰囲気になるのは嫌なので我慢する。僕の結婚生活はずっとそうなんです」
何をもって平等なのか対等なのかを議論するより、日常生活ではふたりともなるべく楽になれるようにどうやって家事を手抜きするかを話したほうが円満な関係につながるのではないか。トシヤさんはそんなふうに話してくれた。