老後不安を解消するためには
「いくらあれば老後の不安はなくなりますか?いくらあっても足りないような気がしています」(59歳)
そこで本記事では、老後不安を拭い去るために、どれくらいの貯蓄があれば安心かを考えていきます。
老後不安、いくらあれば安心?
「お金はあればあるほど安心」なのは言うまでもありませんが、それだけだと際限なくお金が欲しくなってしまいます。そもそもの話として、どのような条件を満たせば「お金の心配」がなくなるのでしょうか。本記事では、筆者は「安心できる老後」を「退職後に、生活できるだけの安定した所得があること」と定義します。安定した収入があれば、安心して暮らせると思ったからです。
生命保険文化センター「2022年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで、最低限必要な生活費は月20万~25万円と考える人が多いようです。
仮に月25万円あれば安心とします。この場合、1年に必要な生活費は300万円です。これくらいの収入を維持できる仕組みを整えておけば、十分に安心できるのではないでしょうか。
年300万円の生活費を捻出するには
日本年金機構が2024年4月1日に更新した「令和6年4月分からの年金額等について」によると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は月額23万円です。生活に必要なお金が月25万円、受け取る年金が月23万円と考えると、すこし年金が足りないものの、不足額は大したものではないように見えます。
仮に2万円を貯蓄から賄うとすると、筆者であれば不動産投資信託(REIT)などに投資して年間24万円の金融所得を受け取れないか考えます。
一般社団法人不動産証券化協会が運営するJ-REIT.jpによると、2024年7月時点のREITの分配金利回りは4.72%です。この利回りは税引前のもので、税引き後は3.8%くらいになります。
この利回りでREITに1000万円を投資すると、年間38万円の分配金を受け取れることになります。
月額換算すると3万円です。(分配金が減らない前提なら)年金受給額の23万円と合わせれば、月26万円の収入源を確保できています。これだけあれば安心できそうです。
もうすこしゆとりを持って「月30万円」の生活費を受け取りたい場合はどうでしょう。
この場合、年金支給額23万円に加えて、月7万円(年84万円)の金融所得が欲しいところです。この場合、必要な投資資金は2200万円ほどです。定年時に2000万円くらい投資にまわせる資金があれば、余裕のある老後を送れそうです。
まとめ
老後の暮らしについて「貯金が足りているだろうか」と漠然と不安を抱えている方は多いでしょう。世帯によって年金受給額や、老後に必要な資金額は違うでしょうから、自分なりに試算して、いまのうちから「どうやりくりするか」をイメージしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度
- 令和6年4月分からの年金額等について(日本年金機構)
- J-REIT分配金利回り(J-REIT.jp)