たった1時間で「ドヤ顔」の夫にイラッ
たった1時間の家事労働でドヤ顔されても……。なんだかんだと妻の負担は減らないのだ
「でも夫は風呂掃除をした、今日は保育園のお迎えにオレが行った、と何か一つするたびにドヤ顔で褒め言葉を待つんです。子どもか、と心の中でいつもツッコんでいました。あんまり偉そうだから、1週間、夫が家事育児をやった時間を計測してみたんです」
平均時間は1時間5分。週末は子どもと遊ぶ時間が増えるため、次の週は家事と育児に分けてみた。すると家事は1時間を切り、週末の遊ぶ時間だけが3時間程度となった。逆に週末の家事時間はほとんどない。
「夫の場合、育児をしているといっても、5歳と2歳の子どもたちと“遊ぶ”だけなんですよ。お風呂に入れるとか寝かしつけるとかはほとんどしない。手間のかかることはせず、自分の都合で遊びたい時だけ子どもに付き合ってもらっている感じさえします(笑)」
男の働き方と女の働き方は違うのか?
夫に計測時間を突きつけてみた。どう思う? 悪いけど私自身もフルタイムで働いているんだよ、と。男の働き方と女の働き方は違うんじゃないかなあと夫はつぶやいた。「これで私は愛想を尽かしました。『言っちゃ悪いけど、私、あなたより仕事していると思うよ』と言ってやりました。うちはもともと同じ職場だった。結婚を機に私は転職したのですが、今も同業に近いから夫の仕事ぶりが分かっちゃうんですよ。前職に友人も多いですし」
夫はバリバリと仕事を切り開いていくタイプではない。だが、心根が優しいので「夫にするにはいい」と思ったのだとアヤカさんは言う。
「もっと家事育児もやると思っていたんですけどね……。職場の友人に愚痴ったら、『自ら仕事を取りに行かない人が、家事や育児に積極的に取り組むとは思えない』って。納得しましたね。私の見る目がなかったということです」
だが「私はあなたより仕事をしている」と断言したことで、夫は少しは反省したようだ。
「やってくれる人がいるのに自分が手を出したら悪い」「手際よくやる妻に任せたほうがうまくいく」など、夫たちのいいわけはさまざまだが、「いい妻」ほど夫は手を出しづらいという側面もあるのかもしれない。
「最近は、今日は洗濯を任せた、と丸投げします。そうするとしかたがないからやるみたい。性格にもよりますが、とにかく夫にもやらせること。妻の方がその意志を明確にしたほうがいいのかもしれません」
アヤカさんはそう言って、自らを鼓舞するように口元を引き締めた。
<参考>
・「男女共同参画白書 令和5年版」(男女共同参画局)