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「電子処方箋」とは? もらい方やメリット、注意点をわかりやすく解説

Amazonがオンラインで処方薬を購入できるサービス「Amazonファーマシー」を開始しました。このサービスを利用するには「電子処方箋」が必要となります。電子処方箋とは何か、わかりやすく解説します。(サムネイル画像出典:MaximP / Shutterstock.com)

福田 正人

執筆者:福田 正人

インターネットサービスガイド

Amazonファーマシーを利用するには電子処方箋が必要

Amazonファーマシーとは、Amazonが開始した処方薬の販売サービス。ユーザーは薬剤師によるオンラインでの服薬指導から処方薬の配送まで利用可能で、処方薬を入手する際の移動の手間や待ち時間を減らすことができます。
Amazonファーマシー利用の流れ

Amazonファーマシー利用の流れ(出典:プレスリリース

これを利用するために必要となるのが「電子処方箋」です。電子処方箋は2023年1月から開始された仕組みであり、効率化や健康面でのメリットを有しています。

この記事では、電子処方箋とは何か?どのように入手するのか?といった点について解説します。
 

Q. 電子処方箋とは?

そもそも処方箋とは、医師が患者を診察した際、患者が薬を服用する必要があると判断したときに発行する書類です。薬の種類とその服用量、投与方法等が記載されており、この処方箋を元に薬剤師が薬の調合を行います。
 
電子処方箋とは、これまで紙で発行していた処方箋を電子化したものです。処方箋の電子化によって以下のメリットが生まれます。
 
■薬の併用による健康被害の防止
患者が複数の医療機関を受診し、個別に薬を入手していた場合、薬の併用による健康被害が発生する可能性があります。これを防止するために、これまでは別の医療機関により処方されている薬の情報は、お薬手帳や患者の記憶を元に医師や歯科医師、薬剤師が確認していました。

一方、電子処方箋では、処方された薬の内容はシステム上で一元管理されるため、医師や歯科医師、薬剤師はより正確に患者の投薬情報を共有し、薬の併用による健康被害を防ぐことが可能になります。
 
■薬の受け取りプロセスの簡素化
これまでは、医療機関により紙の処方箋が発行され、患者がこれを薬局に提出し、調剤を受け取るといった仕組みでした。

電子処方箋は、医師が処方情報を「電子処方箋管理サービス」というシステムに登録し、患者が訪れた薬局の薬剤師が、処方情報を電子処方箋管理サービスからダウンロードし、調剤するという仕組みです。

患者が処方箋を薬局に持っていく必要がなくなるため、患者はいつでも都合のよいときに処方薬を受け取ることができます。また、紛失による処方箋の再発行の手間もなくなります。
 

Q. 電子処方箋の利用方法は? マイナンバーカードが必要?

医療機関で電子処方箋を受け取り、薬局に提出する方法として、マイナンバーカードを利用する方法と、健康保険証を利用する方法との2つがあります。

ただマイナンバーカードの場合は、本人の同意の上で、過去の投薬情報を医師、歯科医師、薬剤師が確認することができます。安全な医療につながることから、マイナンバーカードの利用が推奨されています。
マイナンバーカード利用と健康保険証利用の違い

厚生労働省「電子処方せんの利用方法について(国民向け)」YouTube動画より


■マイナンバーカードで電子処方箋を入手する方法(医療機関での受診時)
1. 電子処方箋に対応した医療機関で受付する
2. 顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
3. 顔認証または暗証番号で本人確認する
4. 過去のお薬情報の提供の同意/不同意を選択する
5. 処方箋発行方法として電子処方箋を選択する
6. 診察を受ける
7. 会計時に「処方内容(控え)」が渡される
 
※処方内容(控え)は処方箋ではなく、処方内容等を患者が確認するために渡されるものです。薬局で健康保険証を使用して受付する場合、処方内容(控え)に記載された6桁の引換番号が必要になります。
 
■マイナンバーカードで電子処方箋を提出する方法(薬局での購入時)
1. 電子処方箋に対応した薬局で受付する
2. 顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
3. 顔認証または暗証番号で本人確認する
4. 過去のお薬情報の提供の同意/不同意を選択する
5. 調剤を受ける処方箋を選択する
6. 薬を受け取り、会計をする

過去のお薬情報の提供に同意すると、薬剤師が患者の処方情報をデータで確認しながら調剤することができます。
 
■健康保険証で電子処方箋を入手する方法(医療機関での受診時)
1. 電子処方箋に対応した医療機関で受付時に電子処方箋を利用したい旨を伝える
2. 診察を受ける(医師・歯科医師から電子処方箋を希望するかを確認される医療機関もある)
3. 会計時に「処方内容(控え)」が渡される
 
■健康保険証で電子処方箋を提出する方法(薬局での購入時)
1. 電子処方箋に対応した薬局で受付時に処方内容(控え)に記載された6桁の引換番号を伝える
2. 薬を受け取り、会計をする
 

Q. 電子処方箋は全国どの医療機関・薬局でも利用できる?

電子処方箋に対応した医療機関・薬局でしか利用できません。電子処方箋に対応している施設は以下のようなサイトで検索することができます。
 
■電子処方箋対応施設を検索できるWebサイトの例
Caloo 病院口コミ検索サイト
SCUEL(スクエル) | 医療総合情報サイト
症状検索エンジン「ユビー」
 

Q. 電子処方箋の場合、家族が代わりに薬を受け取ることはできる?

患者の家族が代わりに薬を受け取る場合、被保険者情報、処方内容(控え)に記載されている「引換番号」、患者と家族であることがわかる身分証明書を薬局に提示すると薬を受け取ることができます。

電子処方箋に対応した医療機関でも、紙の処方箋を選択することができるため、これまで通りに紙の処方箋を利用して薬を受け取ることができますが、電子処方箋では患者と家族との間での紙の処方箋の受け渡しの手間を省くことができます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。

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