人間関係

私を“ゴミ扱い”する夫や義父母から逃げ出し、結局「生活保護」に。38歳シングルマザーの困窮(2ページ目)

結婚後、同居の義両親だけでなく夫からも虐待を受けるようになった女性。よちよち歩きの娘にまで暴力を振るう夫を目撃し、婚家から逃げ出した。しかし、シングルマザーが自立することは「思った以上に厳しい」のだった。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

泣き止まない子、私をバーンと叩く夫

子どもが生まれても、夫や義父母からの愛情は得られなかった

子どもが生まれても、夫や義父母からの愛情は得られなかった

初孫だというのに義父母はあまり喜んだ様子はない。親戚が来たときだけ、「かわいいでしょう」と自慢していたが、世話をしてくれたこともなかった。

「子どもが泣きやまなかったとき、夫が私の頭をバーンと叩いたんです。何も言わずに。意味がわからなかったけど、苛立っていることだけは伝わってきた。同時に怒りがわきました。あなたの子でもあるんですけどと言いたかった」

子どもがよちよち歩きをするようになれば、親はハラハラしながらもうれしがるものだが、ある日、夫は家の中でよちよち歩く娘が邪魔だったのだろう、足をかけて転ばせた。アツコさんは夫に背を向けて、洗濯物を畳んでいたのだが、その瞬間だけ振り向いて見てしまった。夫と目が合った。娘が火がついたように泣き出した。

「娘を抱きしめて、言葉も発しないままに夫を睨みつけました。夫は『なんだよ、その目は』と私の髪の毛を引っ張った。なぜそこまで嫌われているのかわかりませんでした」

階下からは、「うるさいわよ」と義母の声が響いてくる。アツコさんは翌日、娘を連れて家を出た。実家に戻るわけにもいかず、いとこを頼った。

「いとこも結婚しているので、そうそう長くはいられない。数日で、今度は友だちの家へ。でも夫が迎えに来て、どうしても戻ってほしいって言われて」

戻ってみたら、義父母からのいじめと夫の暴力はさらにひどくなっていった。娘が5歳になったとき、夫に突き飛ばされてアツコさんは鎖骨を折った。ここにいたら生きていられないとアツコさんは感じた。

「また友だちの家に避難し、彼女の協力もあって支援団体とつながることができました。それから仕事を探して、2年かけて離婚して」

離婚後の生活がうまくいかず生活保護に

これからは娘とふたりで生きていこう、貧乏でもいい。そう思っていたアツコさんだが、離婚して1年後、体調を崩して入院。そこから自分でも心身が崩れていくような疲れを感じ、とうとう仕事を辞めるしかなくなった。

「それからは生活保護を受けています。本当は受けたくなかったけど、どうにもならなかった。今は少し体調も回復してきたので仕事を探し始めているんですが、なかなか見つからない。9歳の娘に慰められる日々です」

節約を重ねる日々にも疲れた。あのまま婚家にいたら、今よりましな暮らしができたはずだという思いが最近、強くなってきて、くよくよ考えてばかりいるという。

「あのときは身の危険すら感じていたから逃げたのに、離婚して意気揚々とうまく生きていくことができなくなると、やっぱり婚家の生活の方がよかったんじゃないかと思い始めて。弱いですよね、私。シングルマザーで強く元気に頑張っている女性はたくさんいるのに、私はすぐに『ダメな人間だ』とあきらめてしまうんです。自分でも情けなくて」

生活保護から脱してきちんと自立しなければと思いながら、それがうまくいかない焦燥感が空回りしているだけだと彼女はつぶやいた。それでも頑張っていくしかないんですけどねと、最後に彼女は少しだけ明るい声で言った。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます