だが、その後の生活が物的にも心理的にも「思った以上に厳しい」と嘆く女性は少なくない。
結婚当初から「ふしだらな女」扱い
夫、同居する義父に家政婦扱いされ、「10年にわたる結婚生活で、心から安心して笑ったことは一度もない」と言うアツコさん(38歳)。28歳のとき、付き合って半年たつ4歳年上の彼からプロポーズされた。同時に妊娠が発覚、妊娠を機に結婚したわけではないのだが、義父母からは「ふしだらな女」と面と向かって言われた。それでもなんとか婚姻届を出して夫の実家に引っ越した。結婚式も挙げなかった。
「義父は義母へのモラハラがひどかったですね。そんな義母だから、ひとりっ子である息子だけが頼り。だけど義父の薫陶を受けた夫は、自分の母親のことも『母さんは頭悪いんだから、しょうがないよ』と言う始末。義母はたまったストレスを私にぶつけ、義父も夫も私をゴミみたいに見ていました。
一緒に食卓につくのが当然だと思っていたら、『あなたはお給仕しなくちゃいけないんだから、そっちに座っていなさい』と言われ、家族の食事が終わってから残り物を食べさせられていました。妊娠中なのに……」
女性を下に見る父親だった
アツコさんが育った家庭も、決して穏やかではなかった。わがままな父に尽くす母という図式だったが、父は暴力はふるわなかった。暴言も吐かなかったが、ただ陰湿に黙り込むタイプだった。どちらの家庭も、女性を下に見ていることに変わりはない。「それでも最初のうち、夫は『ごめんな。いつか別居するから』と言ってくれたんです。でもそれは口だけ。そのうち、つわりに苦しむ私に『なんだかこっちまで気持ち悪くなるから、ごはんを作り終わったら2階にいてくれない?』と言うようになった。ひとりで2階に上がって横になっていると、階下では義父母と夫が楽しそうに話している声が聞こえてくる。私なんかいない方がいいんだろうなと思っていました。実家でもそんなふうに思ってばかりいたので、どこにいても私はそうなんだ……と」
アツコさんの目に涙がたまっていく。彼女は短大を出て入った会社を、結婚するとき夫に辞めるよう言われて素直に退職していた。仕事さえあれば、と何度思ったことだろうと述懐する。
娘が産まれてからも、彼女は婚家に居場所を作れなかった。
>夫は暴力に走り、矛先は幼い娘にも