あまりの侮辱に震えた日
「義母は口が悪いんです。本人も自覚していて、『私は口は悪いけど、気持ちはさっぱりしてるのよ』とよく言っていた。でも、口が悪いを通り越すような言葉は看過できませんでした。人は思ってもいないことは言いませんから」ユリカさん(40歳)はそう言う。結婚して10年、7歳と4歳の子どもたちは、近所に住む70代の義父母がよく面倒を見てくれている。もちろん、それには感謝しているし、今まではそれなりに義母の口の悪さも容認してきた。
ところが今年の春、義母が転倒して手首を骨折してしまった。すぐに入院して手術、さいわい1週間もたたずに退院することになった。
「退院時にはもちろん迎えにいくつもりでした。だけど予定より1日早く退院することになったと急に連絡があったんです。その日は私、日帰り出張でどうしても行かれない。夫は大事な商談があって行かれない。義父はあまり足腰が丈夫ではないので任せられない。あと1日だけ退院を遅らせてもらえないかと頼んだんですが、義母はどうしてもその日に退院すると言い張って」
結局、ひとりでタクシーで帰ってきたのだという。夜、出張帰りのユリカさんが義実家に顔を出すと、夫や子どもたちもきていた。なぜか近所の人までいたのだが、その場で義母は大きな声で言った。
「あら、ようやく来たのね。迎えに来るって言ってたのに来てくれなかったのよ、この人。がっかりしたわ。裏切られた。飼い犬に手を噛まれたような感じ」
はあ? 飼い犬? 誰が?
はあ? ユリカさんは思わずそう言ってしまったそうだ。自分は義母の飼い犬だったのか。そんな存在だと思っていたのか。「そんなこと言ったら犬が怒るわね、と義母はお酒の勢いもあって絶好調でぶっ飛ばしていました。夫が『おかあさん、もうやめろよ』とお酒を取り上げたんですが、『いいじゃない、病院じゃ飲めなかったんだから。もう飲んでいいってお墨付きもらってるのよ』と。あまりのことに近所の人たちはそそくさと引き上げていきました」
いくらなんでも「飼い犬」はないだろう。ショックより先に唖然としてしまったユリカさんだが、そのうちふつふつと怒りが沸き起こってきて、さっさと子どもたちを連れて帰ってきたという。
夫は帰宅後、平謝りだったが、その場で義母の発言を指摘してくれなかったことに対してユリカさんは「あなたに庇ってほしかった」と詰め寄った。夫はうんうんと頷きながらも、その後も対応してくれなかったという。
>その一言が、離婚につながるかもしれない