人間関係

思春期にとっての容姿問題…子どもに脱毛や美容整形を相談されても「ダメとは言えない」(2ページ目)

アンチ・ルッキズムは世界的風潮ではあるが、現実はそうはいかないのかもしれない。美容整形も手軽にできる現代、小学生や中学生までが脱毛や整形を望むケースがあるという。親としては、悩みが深い問題だ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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中学生で「二重整形」を熱望

中学生の娘が、どうしても二重まぶたにしたいと毎日、泣いて訴えてくるので困惑しているというのはミチコさん(46歳)。

「なんだかかわいそうになってしまって。でも夫は猛反対。『今は勉強したりスポーツしたりするのが一番大事な時期。見た目なんかにとらわれるな』と叱咤激励しているんです。その年代だからこそ、見た目にとらわれてしまうのよと言ったら、『ルッキズムに負けるな』とまで言う。両方の気持ちがわかるだけに、どうしたらいいんだろうと思います」

ただ、娘は先日、学校には行きたくないと言い出した。いじめられているのかと心配したが、そうではなく娘自身が「こんな目で外に出たくない」と言っているのだそう。

「私の時代は、顔に文句なんか言ったら、『親からもらった顔に文句をつけるな』と怒られたところですが、今の時代、そんなことは言えないですよね。私自身も、奥二重が嫌でたまらなかったから、比較的、安価で簡単な方法なら夏休みなどに合わせてやってもいいんじゃないかと思うんですけどね……」

ミチコさんも仕事を続けてきたため、娘には寂しい思いをさせたという負い目もあるようだ。だからこそ、娘がここまで熱望しているなら叶えてやりたいとも思っている。つい先日、夫には内緒で娘を連れて美容整形の病院に行ってみた。

もし医師が「今はやらなくてもいい」といえば娘も納得するだろうと思ったのだ。

親として毅然と「ダメ」とは言えない自分

「でも、今は中学生でもやる人は多い。そんなに危険なわけでもないと言われて、娘はすっかりその気になってしまった。夫に話したら怒られました。私自身も、すごく悩んでいます。危険ではないと言われても心配だし、そもそも夫同様、ルッキズムに巻き込まれていく娘がどこか危うくて」

それでも毅然と「ダメ」と言えないのは、ミチコさん自身が深く悩んだことがあるから。今のうちに娘の心を前向きにさせたい思いもある。

「娘には、ごねれば親は言うことを聞くとか、人生は自分の思い通りになるとか、そんなふうに思う人間にはなってほしくない。ルッキズムで悩む人に『整形すればいいじゃん』と気軽に言うのも違う。そういったもろもろの深いところまでまだわかっている年齢ではないですからね。18歳になったら成人だから、そこまで待ってもいいと本当は思ってる。ただ、このまま学校に行かないと言われても……」

親の悩みは尽きない。そして娘も苦しんでいる。何が正解なのか、誰にも答えは出ないのかもしれない。
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