衝撃の事実、息子の学費はどうすれば?
衝撃的なことが判明したものの、ミユキさんはどうしたらいいかわからなくなった。さすがに夫も「このままではまずいことはわかっている」と言った。それでも会社には知られたくなかったようだ。息子の納入金は、ミユキさんの独身時代からの貯金でとりあえずまかなった。
「そこからは専門の医者を探して、夫を連れていって……。夫は仕事はまじめにやっているんです。ただ、今まで残業だとか休日出勤だとか言っていたのは全部、ギャンブルの時間だったこともわかりました」
夫は病院には通ったものの、長く秘密にしていたことがミユキさんにバレたせいでかえって気が楽になったのだろうか。ギャンブルをやめることはできずにいた。
「そもそもどうしてギャンブルにはまったのかというと、私が子どもたちにかまけていたからだそうです。それを聞いたとき、一気に夫への敬意がなくなりました。
父親なのに、私が小さい子どもたちの世話に追われて、自分をかまってくれないのが不満だったなんて、大人の言うことじゃないでしょう。そこで初めて、私は夫の両親にすべて打ち明けました。このままだと息子の次年度の学費も払えない、どうしたらいいのかわからない、と。もう夫を庇う気にはなれなかった」
義両親も驚いたようだ。まじめで堅実な公務員だった義父は、「なげかわしい」とつぶやいて言葉を失っていた。
「結局、300万以上の借金を義両親が肩代わりしてくれました。でも貯金はゼロになってしまい、私自身も夫との関係を続けるモチベーションがなくなってしまった。とりあえず夫とは離れたいと申し出ました」
ギャンブル依存症から夫は抜け出せるのか
義両親は「離婚してもいいから、息子には子どもたちに会わせてあげてほしい」と訴えた。孤立するとまたギャンブルに走る可能性が高いから、と。だが、それは両親がやってあげてほしい、私は子どもたちのケアでせいいっぱいだとミユキさんは答えた。「結局、離婚が成立して夫は実家に戻り、私たちは今までのマンションに住んでいます。ローンは夫が払うということでしたが、義父が払っているのかもしれません。夫が子どもに会いに来るのは自由ですが、ここ3年ほどは子どもたちもあまり会いたがっていなくて。私はたまに会っていますが、なんだかギャンブルと手を切ったようには思えないんです」
義両親とは連絡をとりあっている。なんとか夫をギャンブル依存から救いたいと思い、自助グループにも通うよう強く言っているが、その会合の帰り道にパチスロをしたこともあるようだ。
「今は自分の小遣いの範囲内だから大丈夫だと夫は言うんですが、完全に手を切らない限り、またいつのめり込むかわからない。なんだか甘いんですよね、考え方が。自分がかなりひどいことになっている自覚もあまりないみたいで……」
正直言うと、あまり関わりたくないとミユキさんは思っている。私は冷たいのだろうかと悩みながらも、負のループに巻き込まれた夫とともに沈みたくないのだそう。子どもへの悪影響も心配しているようだ。
「客観的に考えると、夫も弱い人間なんだなと思います。もちろん私も弱いけど、でも子どもたちのことを考えたら、泥沼にはまるようなことはしたくない。夫をバッサリ斬るのは申し訳ないけど、下の子はこれから大学受験だし、まだまだ大事な時期。夫と子どもだったら、私は子どもをとります」
離婚はしたが、友人としてゆるく関わり、見守っていく。そのスタンスが許されないなら完全に縁を切ると彼女は夫に言っているそうだ。