人間関係

血筋から「最初の愛情」を得られなかった47歳女性、今も「愛する」の意味がわからない

身勝手な母に振り回され、愛情を感じずに育ったからか、誰かに愛されたり、愛することに二の足を踏んでしまう女性。熱烈にアプローチされて結婚した過去もあるが、「夫という家族」に違和感しかなかったと振り返る。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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いびつな家族に生まれ、「愛情」を知らずに育った女性のエピソード

いびつな家族に生まれ、「愛情」を知らずに育った女性のエピソード

多くの人が「愛情」を学ぶのは、家庭において家族からだろう。父親、母親、きょうだい、そして祖父母や親戚、結局、人は「血筋」から最初の愛情を得るか得られないかという状況で生まれてくるのだ。 

幼少時に感じた、自分の家族が「おかしい」こと

「私が最初に友だちの家に泊まって、その家庭の様子を見たのは中学生のとき。それまでは他人の家庭は知らなかった。自分の家しかモデルがないんですよね」

ユキノさん(47歳)はそう言う。両親と弟の4人家族だったが、ユキノさんにとっては、自分が生まれ育った家庭が、人間関係の根本となった。

「でもねえ、なんだかおかしいというのは子ども心に感じていました。父は機嫌が悪くなると威張り散らし、あげくはしゃべらなくなってしまう。母は父が機嫌悪くならないよう気を遣っているように見えたけど、私には父の悪口ばかり言っていた。しかも母は父を結局はバカにしていたし、下に見ていましたね」

ユキノさんが小学校低学年のころ、母が体調を崩した。それでも母は夕方起き出して、ごはんを炊き、味噌汁や煮物を作った。父が帰宅すると母は起きて、ごはんをよそった。

「見れば母の具合が悪いことはわかるのに、父は一言も大丈夫かなんて聞かない。目の前のごはんと味噌汁、煮物を見て『他に何かないのか』と。『今日はつらくてできなかった』と母が言うと、父は『卵焼きでも干物でもいいから、何かもう一品』とだけ言ったんです。私が魚を焼こうとすると、父は『もういい』といきなり茶碗を母に投げつけ、食べずに寝室に行ってしまいました」

「あんなバカ、さっさと死ねよ」と母は呟いた

さっぱりわからない父の不機嫌なのだが、母はちらかったごはんを淡々と片づけながら「あんなバカ、さっさと死ねよ」とつぶやいていた。

ユキノさんの記憶では、いきなり父が不機嫌炸裂だったのだが、数年前、亡くなった父の通夜のとき1つ違いの弟と話すと、「あのとき、お母さんは浮気してたんだよ」と衝撃的なことを言った。

「弟によれば、当時、母はパート先の上司と関係を持ち、父はそれを知って非常に苦しんでいたそうです。のちに父が弟と酒を酌み交わしながら、『絶対にユキノには言うなよ、あいつはお母さんの味方だから』と言って打ち明けてくれたんだ、と。中学生になるころから私はどちらにも味方はしない、夫婦の問題を子どもに押しつけるなと思っていたので、家族それぞれがみんな違う認識を持っていたんでしょうね」

たとえ家族でも、心の内はわからないものなのだ。

>大人になって、恋愛・結婚はしてみたものの
 
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