在職老齢年金制度とは?年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止に?
在職老齢年金とは、年金をもらいながら働いている方が対象となり、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止されることをいいます。最近では、年金をもらいながら働く方が増えていますが、年金が支給停止されない範囲で働きたいと考えている方は多いでしょう。
今回は、富山年金事務所お客様相談室の中本室長に、在職老齢年金のこと、対象になる人、ならない人と合わせて、在職老齢年金でよくある勘違いについて教えてもらいました。
在職老齢年金の対象になるのは「老齢厚生年金」「老齢基礎年金」は支給停止の対象にならない
――在職老齢年金とはどんな制度ですか?お客様相談室の中本室長:特別支給の老齢厚生年金または老齢厚生年金を受け取りながら、70歳未満で厚生年金保険に加入している方や、70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤務している方は、受け取っている年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。これを在職老齢年金といいます。
――在職老齢年金の対象になる人について教えてください。
お客様相談室の中本室長:特別支給の老齢厚生年金または老齢厚生年金の月額と、給与等の総報酬月額の合計額が50万円を超える方が対象となります。
総報酬月額というのは、お勤めの会社から届出されている給与額とそれまでの直近1年間に支払われた賞与額を12で割った金額の合計となります。
――在職老齢年金でよくある勘違いについて教えてください。
お客様相談室の中本室長:在職による支給停止は老齢厚生年金に対して行われるため、老齢基礎年金は支給停止の対象とならず、全額支給されます。
老齢厚生年金に加給年金額が加算されている場合、老齢厚生年金が全額支給停止されると、加給年金額も支給停止となります。在職老齢年金により支給停止された年金額は、退職や給与の減額等により在職老齢年金の対象にならなくなっても、後から受け取ることはできません。
まとめ
年金をもらいながら働く方は、在職老齢年金で年金が支給停止とならないよう、毎月の給与と直近1年間に支払われた賞与額を12で割った「総報酬月額」が50万円を超えるかどうか確認しておきましょう。在職老齢年金のことを詳しく知りたい場合は、お近くの年金事務所等に問い合わせるようにしましょう。
参照:日本年金機構
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